第5回 視覚芸術と錯覚
第5回 視覚芸術と錯覚
ゼウクシスの逸話からオプ・アートまで、西洋絵画史はまさに錯覚の歴史であるが、そもそも板や画布という物体を「絵画」とみなすこと自体、錯覚の最たるものかもしれない。この回ではとくに遠近法の展開に着目しつつ、美術における錯覚とその機能について考察する。
【キーワード】
写実、ルネサンス、遠近法、トロンプルイユ
那須とりっくあーとぴあ バチカン システィーナ礼拝堂天井画
絵画・彫刻といった美術(視覚芸術)と錯覚には、切っても切れない関係がある。
再現、模倣、透視図法、トロンプルイユ・・・これらはイリュージョンである。
フランス語で「目を騙す、錯覚を起こさせる」という意味の言葉で、転じて「だまし絵」を指す。 トロンプ=ルイユは、精細な描写によって描かれた対象物の実在感に目が騙され、実際に対象物が存在するかのような錯覚を起こさせる絵画技法である。
1.ルネッサンス絵画における錯覚
画術が詐術でもある。 大プリニウス
ガイウス・プリニウス・セクンドゥス(Gaius Plinius Secundus、23年 – 79年8月または10月25日頃(推定)[1])は、古代ローマの博物学者、政治家、軍人。ローマ帝国の属州総督を歴任する傍ら、自然界を網羅する百科全書『博物誌』を著した[2]。一般には大プリニウス(羅:Plinius Maior)と呼ばれる。
甥に、文人で政治家のガイウス・プリニウス・カエキリウス・セクンドゥス(小プリニウス)がおり、養子としている。
聖母子
マグダラのマリア(1475年)(アムステルダム、アムステルダム国立美術館)
1476年の多翼祭壇画(1476年)(ロンドン、ナショナル・ギャラリー)
聖エミディウスのいる受胎告知(1486年)(ロンドン、ナショナル・ギャラリー)
聖母子(1490年)(ミラノ、ブレラ美術館)