第5回 感情と記憶
感情・人格心理学(’21)
Psychology of Emotion and Personality (’21)
第5回 感情と記憶
感情は記憶に影響を与え、また記憶は感情に影響を与える。記憶の分類を踏まえつつ、それらが感情とどのように関連しているかについて、その研究手法に触れつつ論じていく。
【キーワード】
記憶、記銘、保持、想起
1.記憶の分類
(1)記憶の長さからの分類
(2)多様な長期記憶
2.感情が記憶に与える影響
(1)記憶の種類と感情との関係
(2)長期記憶と感情との関係
(3)気分誘導法
(4)保持された記憶と感情
3.感情と記憶の複雑な関係
(1)記憶の無意図的想起と感情
(2)フラッシュパルプ記憶とフラッシュバック
(3)なつかしさと記憶
・記憶と感情の関係を調べる気分誘導法という実験手法について
1) 気分や感情を誘導する方法には、他にどのようなものが考えられるか
2)その方法のメリットとデメリットはどのような点か
ということについていくつかの具体的に想定して考えてみよう。
→1)としては、匂いや、味で思い出してもらう、又は、気の合う友達と話してもらうなどの方法も考えられる。あとは、文章が思い浮かばない作家が適当にペンでなんでもいいから書いていると、書けるようになったとか、楽しくはないが、笑顔で過ごしていると楽しい気持ちになってくるとかかなぁ。
→2)匂いや味に伴う気分や感情は、人それぞれの主観的なものであり、どういう気分や感情が誘発されるかは不明であるが、この匂いに対して、何パーセントの人は好意的に感じるかなどのことはできると思う。また、気の合う友達と話してもらうことについては、これも個人によって違うため共通の友達であっても気が合うかどうかは別であるため、特定の気分や感情が誘発されるとは限らない。逆にどのような友達に対してその人個人はどのように感じるかにより誘発されるものが違うことになる。
・あなたには、どのようなフラッシュバルブ記憶があるか。そのときの感情はどのようなものか。そして詳細な記憶は、事実や他の人の証言とどの程度一致しているか、どのような点が異なっているかを調べてみよう。もし記憶が変容しているとしたら、なぜそのような変容が生じたのかを考えてみよう。
→
・あなたがなつかしく感じるものは、どのようなものだろうか。そしてなぜそれをなつかしく感じるのか、考えてみよう。
→
・感情が記憶に与える影響→保持された記憶と感情
自伝的記憶には、ポジティブな出来事ものとネガティブな出来事のものがある。同じ出来事、事実について、した方と、された法では、受けとり方で、ポジティブ・ネガティブに分かれる。
藤巻はかつて駆け出しのソムリエだったころ、ワイン評論家の安藤(立川三貴)らからロマネ・コンティと偽り安いワインを飲まされ、馬鹿にされたことがあったという。おかげで店を辞めた藤巻はソムリエの道をあきらめ、ワイン評論家になったらしい。有名になった今でもその当時の悔しさは忘れないとか。
右京と薫はある確信をつかむと、招待された藤巻のワインの試飲会に出席する。しかも、かつて藤巻に屈辱を与えた評論家・安藤たちを連れて…。驚がくする藤巻は、ロマネ・コンティの一件を話すが、評論家たちはすっかり忘れている。驚きと怒りで言葉も出ない藤巻。そんな中、ささやかなワインの宴が始まった…。 席上、右京が費用を出すということで店にあった87年のパルトネールが振舞われることに。「86年に比べるともうひとつだねえ」という安藤らに、突如藤巻が奇妙な笑い声をあげた。
ネガティブな感情を抱いた者は、その記憶によって苦しめられ、折にふれて想起され、それがその想起時の体験や感情と結びつき、再解釈され、そして再び記銘される。この繰り返しにより、苦しんでいる人は記憶が深く残るようになり、想起される回数が増え、障害忘れられない記憶となっていくのだろう。
しかし、そのような感情を与えたほうの者は、その時は楽しくその後は思いだしもしないので忘れてしまう。
人それぞれの真実が違ってしまう。
傷ついた人の記憶は残り、そうでないほうの人の記憶は残らない。苦しい感情は想起され、そうでない人の感情は想起されないので忘れてしまう。
相棒シーズン5第9話 「殺人ワインセラー」