第4回 感情の発達

感情・人格心理学(’21)

Psychology of Emotion and Personality (’21)

主任講師名:大山 泰宏(放送大学教授)、佐々木 玲仁(九州大学大学院准教授)

【講義概要】
本講義では感情心理学および人格心理学について論ずる。ここで取り扱う感情とは「そのときどきの気持ち」のことであり、人格とは「それぞれの人がら」のことである。これらのことについて、どのような概念なのか、あるいはどのように測定するのか、そしてどのように発達していくのかなどについてそれぞれの観点から述べる。また、感情については、その種類や表し方、記憶との関連など、人格については、それをどのように記述するのか、環境との関連、心理療法との関連など、様々なテーマで論じていく。また、感情と人格の繋がりや日常生活との関連についても取り扱う。

【授業の目標】
感情および人格という日常でも出会う概念について、心理学上の様々な論点から考察できるようになること、また、学術的な理解を得るだけでなく、その理解が日常生活とどのような繋がりがあるのかかについての知見を得ることを目標とする。

第4回 感情の発達

感情は生まれたときから成人に至るまで、同じような様相を呈するわけではない。出生時からどのような感情が生まれ、どのように変化していくかについて、いくつかの観点から論じていく。

【キーワード】
発達、一次感情、二次感情、分化

発達、一次感情、二次感情、情動調律、他者視点取得、共感


1.感情の分化と発達 ルイスのモデルを中心に

(1)生物の進化と感情

進化心理学の知見からすれば、感情は哺乳類に至って急速に発達するものである。

(2)ルイスの感情発達の理論

【ルイスの発達心理学】

ルイス 感情分化過程

ルイスの発達理論(Lewis,1992)では,誕生直後に満足(快)・苦痛(不快)・興味(関心)の3つの感情を持つとされています。生後3か月後には満足から喜び,興味から驚き,苦痛からは悲しみ・嫌悪が分化し,生後6か月までには苦痛から怒り・恐れが派生して基本的な感情が出そろいます。

これらの基本感情は一次的感情と呼ばれます。

その後,自己意識が発達してくることで1歳半から2歳頃には照れ・妬み・共感が感じられるようになります。

さらに,2~3歳頃,外的な基準やルールを獲得し他者の認識が生まれてくると誇り・恥・罪悪感が生じます。一次的感情をベースとして,自己意識や他者認識が育つことで生まれるこれらの感情のことを二次的感情と呼びます。

a)一次感情

b)二次感情

2.コミュニケーションの発達と感情

(1)乳幼児の感情関連の相互作用

「新生児微笑」

「社会的微笑」

「舌出し模倣」

エントレインメント「共鳴」

情動調律

(2)他者の感情の理解

「三項関係」

共同注意

社会的参照・・・・・視覚的断崖の実験

(3)他者の視点取得と共感

他者視点取得

・認知的視点取得・・・・・認知的共感

・感情的視点取得・・・・・情動的共感

 

 


芥川龍之介の「手巾」のいいですが、相棒の「手巾」も良かったです。

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