第3回 細菌感染と免疫応答
第3回 細菌感染と免疫応答
細菌感染の概説、感染症を生じる病原細菌の分類と、感染経路と、生体防御機構の細菌感染に対する免疫応答について解説する。
【キーワード】
グラム陽性菌、グラム陰性菌、球菌
1.自然免疫と獲得免疫
2.自然免疫のメカニズム
3.補体
4.細菌感染の特徴
5.細菌感染と自然免疫
6.細菌感染と獲得免疫
7.結核菌と免疫反応
8.ヘリコバクター・ピロリ感染と免疫反応
1.自然免疫と獲得免疫
生体は自己と非自己を区別して認識する機構を持っている。細菌や他人の臓器等の非自己に対してだけ攻撃、排除するメカニズムが働く。獲得免疫においては、抗体やT細胞受容体といった抗原受容体の働きで自己と非自己、抗原得異性を発揮していることが明らかになった。
獲得免疫が微生物に反応するまでの間に、自然免疫が働くという、いわばつなぎの作用と同時に獲得免疫の制御機能(コントロール機能)をももっていることが明かになった。
微生物が侵入すると最初に自然免疫が働き、獲得免疫の活性化とその方向性を制御する。その制御のもとに遅れて獲得免疫が活性化され、強力で特異性の高い生体防御機構(獲得免疫、特異的免疫等と言われる)が働き、さらに記憶T細胞、記憶B細胞等を介してこの獲得免疫は記憶される。自然免疫は記憶されない。
2.自然免疫のメカニズム
病原体関連分子パターン(pathogenasssociated molecular patterns:PAMPs)自然免疫の受容体は数こそ限られているが、極めて多くの微生物を認識できる。微生物に特有で、また微生物を種類によらず共有されている分子を認識しているからである。このような分子(抗原)をいう。
パターン認識受容体(pattern rcognition receotor:PRR)PAMPsを認識する宿主細胞の受容体をいい、TLRが代表例である。
アジュバンド:免疫励起性の弱い抗原と微生物成分を混ぜることにより弱い抗原の免疫励起性を高めることが知られていた。この微生物成分を言う。
Toll様レセプター(Toll-like recepter:TLR)アジュパンドの受容体の研究は1997年にこの分子の発見から一気に解明された。
3.補体
4.細菌感染の特徴
スーパー抗原(英:Superantigens)(略称:SAg)はT細胞を非特異的に多数活性化させ、多量のサイトカインを放出させる抗原である。 スーパー抗原は病原性の微生物(細菌の他、ウイルスやマイコプラズマも含む)によって産生され、微生物側にとって免疫系に対する防御として働く。
抗原提示細胞[antigen presenting cell]マクロファージ,樹状細胞,B細胞といった,抗原を消化分解し,抗原ペプチドをMHCクラスⅡ分子に結合させる機能をもった細胞を抗原提示細胞という(図3).抗原提示細胞は,細胞表面のTLRにより病原体がつくる産物を異物として認識すると活性化し,自然免疫を起動する.また異物を分解(processing)してつくった抗原ペプチドを自己MHC抗原とともに細胞表面に提示する.これをTh細胞が抗原受容体(TCR)により読みとり獲得免疫として働く.ここで,さらに抗原提示細胞とTh細胞のそれぞれがサイトカイン受容体と接着分子(補助シグナル分子)を細胞表面に発現する.抗原提示細胞はレセプターであるCD80/CD86を,Th細胞は接着分子であるCD28を発現して互いに接合し,遺伝子の活性化あるいは調節に向けたさらなるシグナル伝達を行う.
5.細菌感染と自然免疫
6.細菌感染と獲得免疫
7.結核菌と免疫反応
8.ヘリコバクター・ピロリ感染と免疫反応