第15回 発達と環境:文化の影響

第15回 発達と環境:文化の影響

近年、心理学研究における文化的背景の重要性が認識されるようになってきている。人が発達する過程において文化の影響がどのような形で見られるのか、文化心理学の研究成果をもとに考察する。

【キーワード】
発達と文化、文化的自己観、子育て、教育、文化的産物


1.発達と文化

「人間の心の働きは普遍的である。」を前提だった。

しかし、人間の発達や学習のプロセスは必ずしも普遍的なものとは言えず、文化的文脈を考慮することの重要性が改めて認識されるようになった。

2.文化的自己観

個人主義と集団主義 集団主義と個人主義の違いは、個人とグループのどちらが重要であるかという価値観の違いに基づいています12集団主義は、グループの利益や一体感を優先し、否定的な結果を避けようとします12個人主義は、個人の利益や自己表現を重視し、確信や議論を求めます12集団主義は、文化的な単純さや厳格さに関係し、個人主義は、文化的な複雑さや寛容さに関係します2

『日本人は集団主義的』という通説は誤り | 東京大学 (u-tokyo.ac.jp)

文化的自己観  文化的自己観とは、文化によって「自己」についての考え方が異なるという理論に基づいて考えられた概念で、主に東アジア文化と西欧文化が比較されます。 日本を含む東アジア文化では自己が他者と重なりあって認識されており、そのような自己観を相互協調的自己観と呼ぶ。相互協調的自己観は、自分や人はまわりと関係性があって初めて存在するという考え方です。12

・相互独立的自己観

・相互協調的自己観

3.子育て・教育に見る文化差

「西洋 対 東洋」といった慣習的な二分法に頼るのではなく、文化差より丁寧に見ていくことの必要性を示している。

文化を越える共通性にも注意を向けることが重要である。

4.文化的産物に見る文化差

絵本、漫画、アニメ、ドラマ、教科書、伝記、小説、映画、音楽など

ピューリタン神話 ピューリタン – Wikipedia

人は既存の物語を土台としつつ、それらを取り入れたり、修正したり、時に反発したりしながら、自己や出来事についての語りのパターンを身につけていくものと考えられる(マクアダムス)

マクアダムスMcAdams,D.P.(2006)は,特性論的な心理学は,伝記的・社会的・歴史的な文脈において人間を全体として理解するための包括的な枠組みを提供することができなかったとし,ナラティブnarrativeの次元を導入してパーソナリティを3層構造でとらえるモデルを提唱している。

5.発達段階と文化の影響

9~15歳頃 文化に固有の意味体系を獲得する時期

 

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