第13回 地球環境・生態系:サンゴ礁から考える
過剰な人間活動により急速に変化しているサンゴ礁を例に取り上げ、サンゴとサンゴ礁生態系のレジリエンスを紹介する。その上で、気候変動により変化するサンゴ礁のレジリエンスを高めるための保全策を紹介する。こうした生態系の変化は広範に起こるため、保全を進める一方で、変化する生態系に人間社会が対応していく必要があり、生態系の変化は人間社会のレジリエンスにも関わってくる。
1.サンゴ礁と人間社会が織りなす世界
2.危機にあるサンゴ礁
3.サンゴとサンゴ礁生態系が持つレジリエンス
4.サンゴ礁生態系のレジリエンスを高めるために
5.生態系の変化と人間社会のレジリエンス
1.サンゴ礁と人間社会が織りなす世界
沖縄県黒島のサンゴ礁(棲息する多様な生物を含む生態系全体)
褐虫藻が光合成をする。
2.危機にあるサンゴ礁
サンゴの白化現象(サンゴから褐虫藻が放出されたり褐虫藻自体が劣化したため)
サンゴはかつてない水温上昇にさらされている。
3.サンゴとサンゴ礁生態系が持つレジリエンス
サンゴの適応白化仮説
新たな生態系(ノベル生態系 12回)が温帯域に形成されつつある。
4.サンゴ礁生態系のレジリエンスを高めるために
気候変動への対策(12回)
緩和策と適応策
5.生態系の変化と人間社会のレジリエンス
日本において熱帯性のサンゴが急速に北上して温帯に分布域を拡大して、新たな生態系(ノベル生態系)を温帯域に形成しつつある。
従来存在している生態系(藻場生態系)の保全を進めるとともに、新たな生態系(サンゴ礁生態系)の活用を考える必要がある。
環境変化以後のレジリエンスには3タイプある。
①依然と全く同じ
②構造は異なるが同じ機能を維持する
③システムが別の機能や目的を持つ「革新的レジリエンス」
これらのレジリエンスは、短期的な「パルス型」の環境変化や攪乱を想定したもののように思われる。気候変動は長期に一方的な変化をする「プレス型」の側面がある。