第11回 経済学から見た経済危機に対するレジリエンス

この回では、社会の人々の行き過ぎた経済行為が深刻な経済危機を生み出さないように、人々の間で経済行動の目安やルールを共有しておくことの重要性を議論していく。最初の事例は、適度な株価の目安としてP/E比率を提示するとともに、1980年代後半の株価バブルがP/E比率の目安を大きく超えていたことを示す。2つ目の事例では、日本銀行が過度に長期国債を引き受けることに歯止めをかけるルールであった日銀券ルールが2013年に棚上げになるやいなや、日銀の長期国債保有が急激に膨張したことを見ていく。


1.経済危機に対してレジリエンスな社会とは?
2.事例研究(その1):株価バブルの生成と崩壊
(1)1880年代から2000年代初頭にかけての株価
(2)株価の目安としてのP/E比率
(3)CAPEの水準から振り返った株価
3.事例研究(その2):財政危機回避の目安を無視すると…
(1)日銀券ルールとは?
(2)日銀券ルールを棚上げすると…
(3)今後どうなるであろうか?


1.経済危機に対してレジリエンスな社会とは?

・経済が速やかに元の状態に戻るような軽い経済混乱

・経済が元の状態に戻るまでに時間がかかってしまう混乱

・経済が元の状態を回復できないような甚大な経済混乱

経済危機による社会の混乱は、社会の人々の行き過ぎた経済行動の帰結、すなわち人間活動によるものがとても大きい。

2.事例研究(その1):株価バブルの生成と崩壊

(1)1880年代から2000年代初頭にかけての株価

株価バブルの形成と暴落を客観的に見ると、株価が適切な水準(ファンダメンタルズ)を上回っていたにも関わらず、社会の人々が株式の売買に明け暮れて、いつの間にか、株価バブルが大きく膨らんでしまった。

(2)株価の目安としてのP/E比率

P/E比率(Price Earnings Ratio)=1株当たりの株価/1株当たりの年間企業収益で計算され、何年分の収益が現在の株価に反映しているかを測った指標。

(3)CAPEの水準から振り返った株価

3.事例研究(その2):財政危機回避の目安を無視すると…

(1)日銀券ルールとは?

(2)日銀券ルールを棚上げすると…

(3)今後どうなるであろうか?

 

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