第11回 行動療法によるアプローチの展開
心理カウンセリング序説(’21)
-心理学的支援法-
Introduction to Psychological Counseling (’21)
主任講師名:大山 泰宏(放送大学教授)
【講義概要】
この授業では、臨床心理学におけるカウンセリング、心理療法を中心とした、心理学的な相談・支援に関する基礎とその展開について講じる。対象者に対する心理学的な支援の中核にはカウンセリングがありつつも、それは、支援の形や対象となる領域によって、さまざまな展開をみせている。そこでは、どのような専門性が求められ、どのような学びをおこなっていけばいいのだろうか。こうしたテーマについて包括的に論じる。
なお本科目は,公認心理師学部カリキュラムのうち「心理学的支援法」に対応する。
【授業の目標】
・カウンセリングの基礎について学ぶ
・心理学的支援のさまざまな技法の基礎と特徴、その適用範囲について学ぶ
・心理学的支援をおこなううえでの心構えや責務について学ぶ
【履修上の留意点】
この科目は、公認心理師の学部カリキュラム「心理学的支援法」に対応しています。他の関連科目も積極的に履修してください。
第11回 行動療法によるアプローチの展開
心の存在を仮定してそこに働きかける力動的な考え方と異なって、状況と反応の結びつきということから行動を捉え、それへの介入によって「心理療法」をおこなう行動療法的なアプローチがある。どのような発想にもとづき、どのように展開したのか、また近年での発展について論じる。
【キーワード】
行動療法、認知行動療法、マインドフルネス、新世代(第三世代)の認知行動療法
マインドフルネス
日本マインドフルネス学会
話題のマインドフルネス瞑想のやり方と効果!瞑想が人生の質を高める
認知行動療法の歴史
観察学習(モデリング)社会的学習法
思考記録法(コラム表) 認知再構成法のやり方と例
認知行動療法の基本モデル
アクセプタンス 人間心理学におけるアクセプタンス(Acceptance)、受容(じゅよう)とは、その人が置かれた現実の状況について、変化や抵抗しようとせずに、その過程や状況を理解しようとする姿である。 その多くはネガティブで不快な状況についての姿勢である。
いまの現実との関係を変えずに受け入れていくこと。自動化されている状況ー反応との結びつきや関係を変えていき、自らの内外の状態を眺めなおしていく余力が生まれてくることを期待している。
具体的な方法としては、身体感覚に注意を向けていく練習をするのである。
マインドフルネスな状態に至までには、継続的な練習や訓練が必要である。
問題 6 認知行動療法に関して述べた,次の①~④の記述のうち,正しいものを一つ選びなさい。
① セラピストはクライアントの認知の歪みを修正していくために,クライアントの発言内容に関して検証し,非合理な考えについて修正を行うために一方的な指導を行う。
② 自動思考とは,幼児期から形成される中核的な信念体系であり,普段は自分で意識できない価値基準のことである。
③ マインドフルネス認知療法では,認知の歪みを修正させていくために,身体内部に注意をむけていくワークを行う。
④ 認知行動療法の実施にあたって,セラピストはクライアントに心理教育を行っていき,治療への動機づけを高めていく。 正解です。
フィードバック 正解は④です。
【解説/コメント】
①認知行動療法では,認知の歪みに関して,セラピストとクライアントが一緒に協働して検証を行い,クライアント自らで答えを出せるように関わっていきます。
②自動思考は,「一時的な反応パターン」として瞬間的に生じる考えやイメージのことを言います。設問は,スキーマについての説明にあたります。
③マインドフルネス認知療法では,認知の変容をめざしていくのではなく,自らの内部で生じる考え,感情などの身体感覚から距離を取り,脱中心化を促進させていくためのワークを行っていきます。
④正しい記述です。
自動思考とは、何らかのストレスの出来事があった時、不快な感情と共に、パッと頭に浮かんでくる考えやイメージのこと言います。 この自動思考には、その人の『考え方のくせ・歪み』が出ます。 自動思考がネガティブな方に偏っていると、嫌な気持ちになり、行動や身体に影響を与えます。
嫌なことが頭の中で繰り返される「反芻思考」が続く原因と、その対処法【前編】
反芻(はんすう、rumination)は、ある種の哺乳類が行う食物の摂取方法。まず食物(通常は植物)を口で咀嚼し、反芻胃に送って部分的に消化した後、再び口に戻して咀嚼する、という過程を繰り返すことで食物を消化する。