第10回 老年期という時期
第10回 老年期という時期
老年期は発達的どのような時期なのか、心理学の中でどのように位置付けられているのかということについて、高齢者の置かれている状況、悩み、エイジズムを踏まえながら論じる。また、老年期に関わる諸理論について紹介する。
【キーワード】
エイジズム、獲得と喪失、老年的超越、SOC理論、社会情動的選択性理論
1.高齢者はどうみられているのか
エイジズム・・・バトラー
バルモア
2.高齢者のおかれた状況
3.人生のステージごとの悩みごと
4.吉本隆明からみた老いの現場
5.高齢者にかかわる心理学の諸理論
(1)ハヴィガーストの発達課題:その障害発達的変化からみた老年期
(2)エリクソンにみる老年期
(3)老年的超越
(4)ラルテスらによる生涯発達のメタ理論
(5)サクセスエイジング
(6)SOC(selective optimization with compensation)理論
ルービンシュタイン 米国の心理学者であるポール・バルテスにより提唱された。日本語では、補償を伴う選択的最適化。バルテスは、この理論を高名なピアニストで、89歳まで現役で活躍したアルトゥール・ルービンシュタインを例に、説明した。
補償
身体機能が低下すると、早く楽曲を弾くことが困難になる。そこで、あえて全体的に遅く弾き、早いパートを早く弾くことで、身体機能の低下をカバーし、聴衆にも、早く弾いているように感じさせることができた。
選択
コンサートでの演奏曲を絞り込み、曲目を減らすことで、体力面等の負担を軽減させた。
最適化
選択による演奏曲の絞り込みにより、一曲の練習時間を増やすことができ、一曲の完成度を高めることにつながった。
(7)幸福のパラドクス・社会情動的選択性理論