第09回 経済学から見たレジリエンスの諸相
この回では、経済学的な観点に立ちながら自然災害、環境破壊、経済危機、感染症などのショックに対してレジリエントな社会を築いていくために必要となる6つの論点(災害からの回復程度、費用対効果、ハードとソフトの補完性、リスク間のトレードオフ、危機対応の責任、学際的アプローチ)をあげていく。特に、社会のレジリエンスと経済のレジリエンスの両立に配慮していく。
1.社会のレジリエンスと経済のレジリエンスの峻別:経済秩序には人為の及ばないレジリエンスが備わっている
2.論点1 レジリエンスにおける回復と創造:元通りに回復するだけがレジリエンスではない
3.論点2 レジリエンスにおける費用対効果:あえてレジリエンスの度合いを適度に抑えてみよう
4.論点3 レジリエンスにおけるハードウェアとソフトウェア:完璧なハードなどどこにもないのだから
5.論点4 さまざまな外的ショックにレジリエントな社会を目指して
6.論点5 危機対応の失敗に対する責任と納得:完璧な危機対応などあり得ないのだから
7.論点6 学術的なアプローチの必要性
1.社会のレジリエンスと経済のレジリエンスの峻別:経済秩序には人為の及ばないレジリエンスが備わっている
「社会が外的なショック(例えば、自然災害、環境破壊、経済危機、感染症など)に対して平生の状態に回復する能力を指している」
2.論点1 レジリエンスにおける回復と創造:元通りに回復するだけがレジリエンスではない
湯水のごとく費用を投じて災害前の状況を回復させることが必ずしも経済秩序の正常な状態と一致するわけではない。
3.論点2 レジリエンスにおける費用対効果:あえてレジリエンスの度合いを適度に抑えてみよう
将来に向かって外的なショックに対してレジリエントな社会を築いていくには、あえてレジリエンスを適度に抑えるということも成熟社会の知恵なのでは。
4.論点3 レジリエンスにおけるハードウェアとソフトウェア:完璧なハードなどどこにもないのだから
資金があればハード、なければソフトでということには幾つかの疑問点がある。
・金をかけてハードを充実させれば本当にレジリエンスは高まるのか
・ソフトな対応は、本当に安上がりなのか
・ハードとソフトは本当に補完的なのか、一方が他方の邪魔になることかないのか
「率先避難者」「津波てんでんこ」
5.論点4 さまざまな外的ショックにレジリエントな社会を目指して
リスク・リスク・トレードオフ(risk-risk tradeoff):トレードオフとは二律背反的な関係を指している。 「リスク管理において、あるリスクを減らすと、別のリスクが増える現象を指している」
6.論点5 危機対応の失敗に対する責任と納得:完璧な危機対応などあり得ないのだから
レジリエンス向上に対する取り組みは、リスクやコストばかりが大きく、リターンが小さい。
「予見可能性」外的ショックが差し迫っていたことが事前に予見できる。
「結果回避可能性」外的ショックが予見されていたとして、それに対応する有効な手段がある。
7.論点6 学術的なアプローチの必要性
感染症について