日本国民を“政府のATM”にするのは誰か?新しい税を次々と創設し、「死ぬまで働け。そして税金を納めろ」という卑劣さ=鈴木傾城

2020年になると、日本経済は消費税10%とパンデミックで往復ビンタで叩きのめされた。そうであれば、消費税を引き下げるとか凍結するという大胆な経済政策を行えばいいのだが、日本政府はそれをしなかった。国民よりも財政規律が大切だと政府は公言したも同然だった。

 

これからも日本は、どんどん税金や社会保険料が引き上げられる

政府は税金をかけまくって国民をATM化している。

おかしな税金も多い。「車を大切にして13年以上乗っている人は増税、車を18年以上乗っている人はもっと増税」というのはあまりにも馬鹿げた税金でもある。

数年前には「海外に行きたければ出国税を払え」というものも新税として取り入れた。最近ではSDGs(持続可能な開発目標)だとか言って、電気代に「再エネ発電賦課金」なるものを取り入れて、電気代を暴騰させている。

SDGsだと言って「森林環境税」みたいなものを住民税に乗っけることも検討している。あるいはSDGsだと言って「炭素税」をかけるとも言っている。

SDGsというのは、政府にとっては「新しい税金をかけるための建前」みたいなものになっているのが分かる。

社会保険料も毎年毎年ちびりちびりと引き上げられている。高齢化対策をしないで、日本が少子高齢化社会になると、それを理由にして社会保険料を引き上げて失策を国民のツケにしてしまうのが今の政府である。

年金支給年齢は遅らせていくばかり

しかし、少子高齢化を放置して社会保険料をこれだけがっぽり持っていきながら、公的年金の支給は遅らせていくばかりだ。段階的に60歳から65歳に引き上げられたばかりなのだが、もう68歳に引き上げたいと言い出している。

少子高齢化は日本社会を蝕む最大の問題であり、日本はこのまま少子高齢化を放置していると国家存続の危機に陥るのは間違いない。

にもかかわらず、日本政府も日本国民も今もなおこの問題に向き合っていないし、人口が減ったら何が起きるのかも考えないで「日本人は少しくらい減ってもいい」と無責任極まりないことを放言する人間もいるのだから呆れる。

日本政府は今もまったく少子高齢化の本格的対応をしていないのだが、そうであればこれからも日本は、どんどん税金や社会保険料が引き上げられ、年金受給年齢も後に延ばされていくだろう。

国民はATM化されてしまう

そうであれば、これからも税金はどんどん上がっていく。緊縮財政は政府の財政を黒字化するために、足りない分を国民から吸い上げるという政策なのだから、国民はATM化されてしまうのである。

 

税金もどんどん上がっていくのも覚悟せよ

2014年4月1日。消費税は8%に引き上げられた。アベノミクスは異次元金融緩和で積極財政に転じたように見えたのだが、この消費税8%で消費を急減速させて日本の経済縮小(デフレ)脱却は潰《つい》えた。

さらに安倍政権は2019年には消費税を10%に引き上げるという暴挙に出た。

これによって景気動向指数は急激に悪化したのだが、2020年になるとコロナ禍が襲いかかって、日本経済は消費税10%とパンデミックで往復ビンタで叩きのめされる結果となった。

そうであれば、消費税を引き下げるとか凍結するという大胆な経済政策を行えばいいのだが、日本政府はそれをしなかった。頑なに消費税10%にこだわったのである。国民よりも財政規律が大切だと政府は公言したも同然だった。

緊縮財政が進められる中、日本政府や官僚は社会保障費を何とか削減し、国民が稼いだ金を毟り取れるだけ毟り取るしかないと考えている。その結果として公的年金の支給年齢が引き上げられ、医療費の自己負担も増え、税金は次々と上がっていくという結果となっている。

税金や社会保険料で給料の半分を取られ、可処分所得がどんどん減っていくのから、これで消費が喚起されるわけがない。日本は税金まみれになって、いつまで立っても経済縮小(デフレ)から脱却できていない。

それでも少子高齢化は放置され続けている。それならば、年金の支給年齢は引き上げられ、額は減らされ、これからも各種税金は「苛烈になっていく」のを私たちは受け入れなければならない。

死んでも税金を取ってやるという政府の決意

「森林環境税」だとか「炭素税」だとか、新しい税が次々と創設されていくだろう。中には、やるせない税金も検討されている。たとえば、何年か前の社会保障制度改革国民会議で、東京大学のある教授が新しい税金を提案していた。

それは「死亡消費税」というものだった。これはどういうものなのか。簡単に言えば次のようなものであると言える。

「60歳で定年されて85歳で亡くなった間に一生懸命消費して日本の景気に貢献してくださった方は消費税を払ってお亡くなりになる。60~85歳の間消費を抑え、お金をお使いにならないで貯め込んだ方は消費税を払わないでお亡くなりになる。しかもそれが相当な金額にならない限りは、遺産相続税の対象にはならない。ですから、生前にお払いにならなかった消費税を少しいただくという意味も込めて、死亡時の遺産に消費税的な税金をかけるという考え方があり得ます」。

※参考:死亡消費税とは – 大阪府医師会(2020年9月16日配信)

消費しないで貯め込んだ人間がいたら、死んだときにまとめて消費税を請求する……。高齢者が若年層のように消費しないのは、無節操に消費して、まだ寿命があるのに金がなくなったら目も当てられないと考えているからである。

だから、いくら高齢者に金を遣えと命令しても、高齢者は絶対に金を遣わない。そこで政府は高齢者に遣わせることをあきらめて、死んだ人間の貯金から金を取ることも検討している。

 

貯蓄税や独身税も。政府の「絶対に、毟り取ってやる……」という執念

他にも「貯蓄税」というものも検討されている。貯め込んでいる人間から預金残高に乗じて税金を課すというものだ。定期預金の金利は0.002%だとかそんな時代に、貯蓄税という名目で税金を取るというのだからどうかしている。

「独身税」というのも話題になったことがあった。ある財務官僚がそれを漏らしたことがあった。「独身税の議論は行われているが、議論が進んでいるわけではない」と火消しされたが、財務省の中ではどうやって税金を取るか、さまざまな新税が話し合われていることが明るみに出た出来事でもあった。

こんな調子だから日本人は死ぬまで働かされるのは言うまでもない。

「死ぬまで働け。そして税金を納めろ」と言う政府

実際、政府はそのつもりでいる。たとえば「65歳定年制」もそのひとつだ。

「一億総活躍」だとか「高齢者がいきいきと働ける社会の実現」と政府は言うが、そんなものは方便である。「死ぬまで働け」が「一億総活躍」という言葉に置き換えられているだけなのである。

だから、政府は企業に65歳までの人間を押しつけて、無理やり働かせることにさせたのだ。もちろん、企業も高齢者を無理やり「押しつけられる」わけなので、企業はとっくの前から再雇用制度を取って防衛している。

再雇用制度とは、55歳や60歳にいったん会社を辞めてもらって嘱託扱いの雇用契約を結ぶことだ。その際は、給料が激減するのが普通である。

国民を「一億総活躍(=死ぬまで働け)で働かせて、税金をどんどん毟り取る。年金の受給を極限まで遅らせ、貯め込んだ金からも税金を取る。それが政府の方向性だ。

国民の限界まで、ありとあらゆる方策で所得は奪われていく

「年金は払いたくない。国民は死ぬまで働け。死んだら死んだで税金を取る」。

この流れは決して止まることはない。政権交代しようが、誰が何を吠えようが状況は変わらない。何度も言うが、緊縮財政や少子高齢化の放置でこのようになっている。

税金を取りまくったら経済縮小(デフレ)が起き、少子高齢化社会になれば内需が縮小して日本経済が痛むのが分かっていたのに、失政を続けた政府のせいでこんなことになっている。

重税路線が緩和されることはあり得ない。税金はこれからもさらに膨れあがっていく。国民の限界まで、ありとあらゆる方策で所得は奪い取られていく。

こういった政府の方策から逃れる方法はほとんどないので、私たちはこれから重税にあえぎながら生きていかなければならないということになる。

若者はいつの時代でも「自分の生まれてきた理由はなぜか。人生の目的は何か」と悩む。しかし、これからはもう悩まなくてもいい。日本政府に聞けば「あなたが生まれてきたのは、税金を払うためだ」と簡潔な答えを教えてくれる。

日本国民はまるで政府のATM。給料の半分近くを税金と社会保険料で毟り取り、30年の失政のツケを私たちに払わせている=鈴木傾城

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