必要なものだけを持ち、すぐ取り出せるように。村上祥子さん80歳の「小さな暮らしのルール」
「あげる」けど「もらわない」。村上祥子さん80歳の「小さな暮らしのルール」
「『小さな暮らし』を選んだのは、終活のためではありません。これからも立ち止まらず、気持ちよく前に進むための方法なのです」と語る管理栄養士で料理研究家の村上祥子さん。今回は「小さな暮らしの10のルール」についてお聞きしました。
必要なものしか置いていないキッチン。お盆に載せて食事をし、そのままシンクへ。
【ルール】「あげる」けど「もらわない」
街頭で配られるポケットティッシュや、化粧品を購入すると付けてくれる試供品は、相手が気を悪くしない程度にやんわりと断ることにしています。
うっかり受け取ったら最後、わが家に逗留し始めますが、処分しようとすると、「新品なのに捨てるの?」と、後ろめたい思いに駆られます。
物のない時代を経験している者として自然な心の動きです。
小さなものでも品物をもらうということは、完全に受け身です。
親しい人や仕事を共にした人との交流の中でいただくものとは違います。
使う目的なくもらったものは、ただたまって家の中のスペースをとるだけです。
一人で食べ切れない到来物の野菜は常備菜を作り、自分の分を残してお嫁さんや秘書に尋ね、欲しいと言われれば秘書には保存容器で渡し、お嫁さんには、クール便で送ります。
お菓子なら仏様に供え、お線香をあげて手を合わせたら、すぐにおろしておやつの時間にスタッフとご相伴にあずかります。
「小さな暮らし」を維持するためには、余分なものを家に入れない。
ご厚意のいただきものは近しい人とシェア。
そして、いつも笑顔で感謝の気持ちを忘れずに。
「『小さな暮らし』を選んだのは、終活のためではありません。これからも立ち止まらず、気持ちよく前に進むための方法なのです」と語る管理栄養士で料理研究家の村上祥子さん。今回は「小さな暮らしの10のルール」についてお聞きしました。
【前回】探しものをしない「見える収納」。村上祥子さん80歳の「小さな暮らしのルール」
【ルール】保存容器にラベルを貼る
ピクルスやジャムなどの瓶のふたに中身を明記。
常備菜や保存食は、瓶や保存容器に入れて冷蔵庫に入れておきますが、外から見ても分かるもの以外は見分けがつかないことも多々あります。
そのために、保存容器に詰めたら、白いテープに内容物の名を書いて貼っています。
こうすれば一目瞭然。
いつまでも冷蔵庫にある得体の知れないものがなくなります。
乾物も袋から保存容器に移し、乾物の名を書く。
また、しらす干しやとろろ昆布、かつお節などの乾物も袋から出して、同じ形の保存容器に移し替え、冷蔵庫に入れています。
こうすることで、冷蔵庫の中にスッキリ収納でき、取り出すのも楽になります。
その上で、詰めた日付や賞味期限などを入れておいてもいいでしょう。
自分が分かりやすい方法で試してみてください。
使用後は、テープをはがし、きれいに洗って乾かし、再度使えるように準備をしておきます。
【ルール】「要る・要らない」を見極めて整理
本当に要るバッグ4種類のみ。これで十分。
料理教室の生徒さんに頼まれて、キッチンの整理を手伝ったことがあります。
「捨てるもの」と「迷ったもの」用の2つのごみ袋と、「本当に要るもの」の箱を用意してもらいました。
「なんとなく要りそう」や「いつか使えるかも」は、「迷ったもの用」のごみ袋にどんどん入れ、半年ほど放っておいて、捨てます。
このルールで整理を始めました。
生徒さんが、黒いエボナイトのアイスクリームスクーパーを手に取って、「なんとなく要るかも? でもアイスクリーム(500ml)をカートン買いして子どもたちと食べた時代は過ぎたのですよね。私も変わらなければ。要らない!」。
ポンと要らないごみ袋に。
迷ったものもたくさんありましたが、このようにして判別が進み、「本当に要るもの」だけにし、整理をすることができました。
整理するときのコツは、瞬時で判断すること。
「本当に要るもの」が見つかると、「要る・要らない」が明確になります。
そして、「整理する」という作業は、優先順位をつける段取り力を養ってくれると思います。