対人魅力

心理学実験1の3つ目の実験

対人魅力

interpersonal attraction

人が他者に対して抱く肯定的または否定的な態度は,対人魅力とよばれる。対人魅力が好意や嫌悪などの感情,信念などの認知,接近や回避などの行動傾向の三つの要素で構成されるとする考え方は,多くの研究者で共有されている。対人魅力を扱った初期の研究としては,ソシオメトリック・テストに代表される対人選択に関する研究が挙げられる。1960年代になると,架空の人物や初対面の人物の魅力attractionを測定する実験が行なわれ,対人魅力という用語が使われるようになった。1970年代に愛情に関する研究が登場してからは,恋愛関係や友人関係など現実に継続している人間関係へと研究の対象が移行していった。

類似性

自分と似ている相手に対して人は魅力を感じやすい。これは価値観や態度だけではなく、社会的地位や学歴、外見なども自分と同程度の相手に対して好意を持ちやすいのである。これは魅力のマッチング仮説と呼ばれている。

類似性が魅力に影響する要因はいくつか考えられているが、そのひとつとして社会的報酬が得られることが挙げられる。価値観や態度が似ていれば自分の意見と一致する可能性が高いため、自分は正しいという確証が得られることが報酬となる。裏を返せば、関係を維持するためのコストや不快な経験が少なくてすむということでもある。

社会的報酬説と類似の概念として「期待-価値説」がある。誰から見ても魅力的な相手と親しくなれば、満足感や社会的な評価という意味で価値は大きいが、それだけ競争率が高いということでもあり、拒絶されるあるいは関係を断ち切られる可能性もあるので期待は小さい。したがって、期待と価値のバランスが良い相手、つまり自分と同程度の魅力をもつ相手に近づきやすいというわけである。

類似性については「似ているから好きになる」のか「好きだから似てくる」のかという問題がある。もちろん付き合いが長くなれば似てくることもあるわけだが、いくつかの研究結果を見る限り、自分との類似性が高いほどより魅力的に感じることは明らかである。

「似ているから好きになる」ことを逆手にとった「好かれたいから似せる」ということが確認されている。昔から、相手の表情やしゃべり方、しぐさなどを自然と模倣することは知られていた。いくつかの研究によると、模倣している側は真似しているという意識もなく、相手にそのような癖があることにも気づいていないことが多いことから、非意識的模倣と呼ばれている。近年の研究では、このような模倣行動は相手と友好的な関係を結びたいと考えている場合に多く起こることが確認されており、模倣された相手は模倣した相手に好意をもつことがわかっている。

類は友を呼ぶ

気の合ったものや似通った者同士は、自然に寄り集まって仲間を作るものでこと。

「類」とは、お互いに似ているということ。

【類がない】比較するものが他にはない、という意味です。「このバラの美しさは、世界にも類がない。」のように、使われます。

【類に触る(るいにふる)】縁故をたどる、という意味です。

逆に「友は類なのか」

心理学では「類似性の法則」

たまたま出会った人と自分が、同じ出身地であることが分かっただけでもうれしい気持ちになることがあるように、私たちは自分と共通点が多い人に対して親近感を持つ傾向があるのです。これを「類似性の法則」といいます。

特に、女性はコミュニケーションにおいて共感を大切にしますので、同じようなものの考え方や感じ方をしている人と一緒にいた方が、自分を肯定してもらえるため安心する傾向があります。

「相手は自分の鏡である」といわれているように、私たちは自分の心の中にあるフィルターを通して、周りの人たちを見ています(心理学ではこれを「投影」といいます)。自分の周りにどんな人がいるかが、自分の心の状態を表しているといえるでしょう。

周りに優しい人が多い時は、自分も周りの人に優しいと思われていることが多いのです。ですから、もし信頼関係のある友達が欲しいと思う時は、「類は友を呼ぶ」の法則通りに、まずは自分が信頼に値する人になることが近道なのです。

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