元厚労省官僚が警鐘「ワクチン接種期に震災以上の超過死亡」政府やマスコミが黙り込む”不都合な真実”
「30代・40代・60代」は接種者のほうが感染しやすい…
ワクチン報道、病院ランキングは嘘だらけ
統計・データの数字は正確で公正なもの――。こう考えている人が多いと思います。しかし、厚生労働省の安全衛生部などに所属して、さまざまな統計・データを扱うなかで私が学んだのは、数字は必要以上に強い印象を与えたり、実際とは異なる印象を与えたりする、「印象操作」を行うためにとても“便利”な道具だということでした。
その印象操作の方法の1つが、「統計・データに表れる数字の定義や出所をきちんと説明しない」ことです。たとえば、皆さんが関心の高い健康に関することでいうと、「有効率95%の薬」といったデータを見たら、要注意です。
どこにも「95%」の定義や出所が説明されていない場合、薬を服用した150人のうち、「『有効だ』と答えた人の割合=有効率」なのかもしれません。そうだとしたら、このデータはまったく信用できません。150人の95%は142.5人だからです。生きた人間を半分には割れず、端数の「0.5人」は本来存在しないはずです。
「142÷150×100=94.666……」または「143÷150×100=95.333……」の小数点第1位の四捨五入をしたのなら、それを明示すべきです。こうしたいい加減なデータを見ると、そもそも調査をきちんと行っておらず、デタラメな数字ではないかと、私は疑ってしまいます。
また、「数字が隠されていないか」と疑うことも大切です。官僚や政治家は、自分たちにとって都合の悪い統計・データを隠そうとします。
たとえば、厚労省はワクチンに関する統計・データの数字を国民にきちんと知らせていません。実は、季節性インフルエンザワクチン接種後の死亡者数は、延べ約1億人が接種して10人程度です。その一方で、新型コロナワクチン接種後の死亡者数は、国民の大部分が接種して1800人以上です。
このことを国民にきちんと伝えると、季節性インフルエンザワクチンと同じような気軽さで新型コロナワクチンを接種できなくなるでしょう。そうなると、数兆円もの予算を確保してきた新型コロナワクチンの接種が進まなくなってしまう恐れが出てきます。そのため、厚労省はこうした統計・データを国民にきちんと伝えようとしていないと考えられます。
統計・データの数字は、物事を判断するのに有用な道具です。しかし、真に必要な数字を見つけたり、数字が持つ意味を読み解いたりしていく力も必要です。問題のある数字について具体的に検証していきます。
【各論1】ワクチン接種と相関か。不気味な22年2月の死亡者数の激増
「2022年は、日本で東日本大震災に匹敵する大災害が起こっていた可能性がある」と言うと、「まさか」と驚くかもしれません。しかし、厚生労働省の「人口動態統計」に示された、歴然たる事実です。新聞やテレビなどではほとんど報じられていませんが、私は人口動態統計のデータを分析して、そういう結論に達しました。
22年の月次人口動態統計速報を見ていくと、21年よりも死亡者数が激増しているのがわかります。22年は8月までの累計で、すでに死者の増加数が戦後最大です。とりわけ、22年2月は、21年2月に比べて約1万9000人も、死者が増えていました。これは、極めて“異常”な数値といえます。
高齢化が進んだ日本では毎年、死亡者数が増加しているのですが、それでも、月平均で1500〜2000人ほどしか増えていません。ということは、22年2月には、高齢化以外の原因で、死者が1万7000人以上も増えたことになります。東日本大震災による死者は、約1万6000人なのですが、それと同規模の「激甚災害が発生した」と考えなければ、理屈に合いません。
その時期に大量の死者を出した原因として、すぐに思いつくのが「新型コロナウイルス感染症」でしょう。ところが、22年2月に、新型コロナが直接的な原因で亡くなった人は、前年に比べて約4000人の増加でした。コロナ禍では「自殺の増加」も問題視されていますが、22年2月の自殺者数も、大きくは増えていませんでした。
そのほかに、死亡者数激増の要因として考えられるのが、実は、「新型コロナワクチンの接種」です。22年2〜3月は、ワクチンの3回目接種が本格化した時期。そこで、3回目接種数と死亡者の増加数を調べてみることにしました。まず、目をつけたのは、新型コロナでお馴染みになった国立感染症研究所の統計。わかりにくいので知っている人が少ないのですが、週単位の死亡者数をHPに掲載しています。また、ワクチンの毎日の接種数はデジタル庁が発表しています。
両者のデータを週単位でまとめ、グラフ化すると、ワクチンの3回目接種数と死亡者の増加数との間には、明らかな相関関係があることがわかりました。人口動態統計では、22年8月も前年より死者が激増し、これは4回目接種との関係が疑われます。
厚労省は命より予算を優先している
いまのところ、新型コロナワクチンが「大災害」の原因であるとは断定できませんが、その可能性はあります。ワクチン接種と死者急増との間に因果関係がないことも明らかになっていません。
本来なら、国民の生命と健康を守る役割を担う厚労省が、人口動態統計を速やかに分析して、死者急増の原因がワクチンである可能性が疑われることを国民に説明すべきでした。そして、特にワクチンの追加接種については「慎重に検討するように」と、国民により一層注意喚起すべきでした。
しかし現実は、それとは真逆の「ワクチン接種の推奨」ばかりしています。財務省によれば、22年3月時点でワクチンの確保や接種に4兆7000億円もの税金を投入しているので、厚労省は、国民を見殺しにしても、後には引けないのでしょう。22年10月16日になって厚労省が接種後の状況について調査を始める方針を示していたことがわかりましたが、「死者急増の原因がワクチン接種によるものか」ということも早急に調査し、明らかにすべきです。
【各論2】エビデンスを名乗った厚労省「印象操作」の典型例
2021年10月15日に、厚生労働省から「新型コロナワクチン接種後の心筋炎・心膜炎について」というパンフレットが出されました。数字に騙されない力を鍛えるには格好の教材だと、私は考えています。
ここには、「心筋炎・心膜炎が疑われた報告頻度の比較(男性)」という図が掲載されています。心筋炎・心膜炎の100万人当たりの発症数は、「ワクチンを受けた場合」と「新型コロナウイルス感染症にかかった場合」を比べると、ワクチンを受けた場合のほうが、桁違いに少なくなっています。それを見れば、「ワクチンを接種すると、心筋炎・心膜炎になるリスクも減る」という印象を抱くはずですが、実は、この図のデータには重大な誤りがあったのです。
図の右側、新型コロナにかかった場合の心筋炎・心膜炎の発症数を、見比べてください。国内は834人となっていて、海外の450人よりも多くなっています。それを見て、私は「怪しい」と直感しました。日本は、米国などよりも新型コロナによる死亡率が圧倒的に低く、重症化リスクも小さいはずだったからです。「新型コロナによる心筋炎なども、日本は海外より少ないはず」と考え、データを洗い直しました。
その結果、国内の15〜39歳男性で、新型コロナと診断されて「入院した」4798人の患者のうち、心筋炎などになった人が4人いたというデータがあり、そこから「4人÷4798人×100万人=約834人」と計算して得られた数値だったことがわかりました。つまり、タイトルにある「新型コロナウイルス感染症にかかった場合」の発症数ではなかったのです。定義とは違うデータが使われていたことになり、極めて大きな問題だと考えられます。
22年8月に誤った部分を削除
さらに、使用しているデータは、21年5月31日までのもので、新型コロナが流行した21年夏のデータが含まれておらず、不適切だと考えました。そこで、21年9月28日頃までのデータを調べてみると、10〜20代男性の新型コロナの感染者数は約30万人で、そのうち心筋炎などを発症した患者は3人でした。したがって、新型コロナに感染した10〜20代男性のうち、心筋炎などを発症した人数は、「3人÷30万人×100万人=10人」と見るのが正しいでしょう。ただし、感染者数や心筋炎などの発症数はあくまでも目安です。
そうなると、数字に対する印象はガラッと変わって、「ワクチンを受けたほうがいい」とは、必ずしも言えなくなります。とりわけ、「武田/モデルナ製ワクチン」については、ワクチンを接種した場合の心筋炎・心膜炎の発症数は、100万人当たり10代で28.8人、20代で25.7人なので、新型コロナにかかった場合よりも、心筋炎・心膜炎のリスクが大きいことになります。
私が22年2月発売の著書で、このデータの誤りを指摘すると、同3月4日の参議院厚生労働委員会でも取り上げられましたが、厚労省は、すぐには誤りを認めませんでした。22年8月になって、ようやく資料を改訂し、誤った部分を削除しました。つまり、厚労省は、「うっかり間違ってしまった」のではなく、「意図的におかしな数字を掲載した」ということになります。新型コロナワクチンの接種を推進するため、「国民に対する印象操作を行った」と言われても仕方がないでしょう。
このように、政府が公表している数字でも、鵜呑みにしてはいけません。数字を利用して政策誘導しようとする「裏の思惑」が、隠されているかもしれないからです。まず数字を疑って、出所や定義を詳しく調べ、よく考えてみるのです。そうすれば、「数字のウソ」を見抜けるようになるでしょう。
【各論3】「80歳未満は接種した方が感染しやすかった」。政府が認めたワクチン統計のミスとは
厚生労働省は、「年金記録問題」や「統計不正問題」のような、数字の処理ミスや不正処理を繰り返してきましたが、最近では、新型コロナワクチンの「未接種陽性者水増し問題」を起こしました。これは、厚労省が新型コロナのPCR検査の陽性者について、新型コロナワクチンを打っていても接種歴が未記入の場合、「未接種」としてカウントしていた問題です。そのため、「ワクチン未接種の陽性者」の数が実際よりも増え、未接種者の陽性率(未接種者の陽性者数÷未接種者数で表される数値)も、実際よりも高くなってしまっていたことが発覚しました。
厚労省は、2022年5月11日以降のデータについて、ワクチン接種歴が不明の場合、未接種ではなく、「接種歴不明」に分類するという修正を行いました。その結果、陽性率は「未接種者よりも接種者のほうが高い」という、国民にとって驚くべき傾向が見られるようになったのです。
10万人当たりの新型コロナの新規陽性者数について、誤ったデータが使われた22年4月4〜10日の数値を、ワクチン接種歴別に見ると「未接種」「2回目接種済み(3回目接種済みを除く)」「3回目接種済み」となるにしたがって、全年代で人数が少なくなっていました。
ところが、データ修正後の同8月22〜28日の数値を見ると、未接種よりも2回目接種済み(3回目接種済みを除く)、3回目接種済みのほうが、新規陽性者数が多い年代も散見されます。たとえば、30代では、未接種の760.6人に対して、2回目接種済み(3回目接種済みを除く)では961.5人、3回目接種済みでは825.2人と、いずれも多くなっています。なお、新型コロナ感染者の全数届け出が見直されたのに伴って、厚労省は8月22〜28日以降の分から公表をしていません。
「官僚は頭がいい」は幻想だった
実は、新型コロナの場合、ワクチンを打った人のほうが打たなかった人よりも「感染しやすい」という現象は21年からすでに英国などで報告され、「新型コロナワクチンに感染予防効果はない」ということが、各国で示されていました。それにもかかわらず、厚労省は「ワクチンには感染予防効果が期待できる」と主張し続け、ワクチン接種を推奨してきました。厚労省は今回の未接種陽性者水増しについて、「意図的なものではなく、数字の処理ミスだった」としましたが、私はミスに気づいていながら、「ワクチン接種を推奨する自分たちにとって都合のいいデータ」なので、「見て見ぬふり」を決め込んでいたのではないかと疑っています。
私は、東京大学大学院で数学や自然科学を学んだ後、06年に「キャリア官僚」として厚労省に入りました。ウイルスなどの病原体や危険な化学物質に対する安全衛生政策の企画などを手がけました。アスベストの飛散防止対策の策定、健康管理手帳の交付、労働者の死因や疾病に関する統計を作成・分析する業務に携わったこともあります。
そうしたなか、厚労省が数字の処理ミスや不正処理を発生させやすい、構造的な問題を抱えていることに気づきました。情報処理や統計の専門的な知見、ノウハウを持った職員が少なく、そうした人材を育成する省内の研修制度も十分ではありません。職員の採用や配置は、知識や能力ではなく、「協調性」などで決められることが多く、データの取り扱いに不慣れな職員が、統計業務を担当していることもあります。
私自身、PCが苦手な前任者から仕事のデータを引き継いだところ、どのデータが正しいのかわからず、途方に暮れた経験があります。今回の未接種陽性者水増しも、起こるべくして起こったといえるでしょう。このように、政府の公表データのなかにも処理に失敗したり、不正に処理されたりした数字が交じっているので注意しましょう。
【各論4】「病院ランキング」の死亡率を低く見せるデータ処理のカラクリ
雑誌の医療特集で見かける病院ランキングの「死亡率」は、病院選びの基準になるでしょう。大病院A、小病院Bという2つの病院があって、手術を受けた入院患者の死亡率がAは3.3%、Bは2.2%だったとしたら、皆さんは「入院するなら、小さい病院でもBがいい」と思うはず。
ところが、AとBの患者を、軽症患者と重症患者の集団に分割してみると、死亡率は軽症患者の場合、Bの1.1%に対してAは0.9%、重症患者の場合、Bの5.2%に対してAは4.3%と、ともにAのほうが死亡率は低いかもしれません。なぜなら、大病院であるAは重症患者が多い一方で、小病院であるBは軽症患者が多く、患者の割合が偏っていたからです。軽症患者の数は、AもBも大差ありませんでしたが、重症患者の数は、Aのほうが圧倒的に多い場合もあります。
重症患者は死亡率が高いと推定され、重症患者の割合が大きくなれば、患者全体の死亡率も上がるはず。一方、AはBよりも設備、人材などが充実しているとも推定され、軽症患者では死亡率が低いのでしょう。その結果、集団全体では「Aのほうが危険」なのに、集団を分割したら、「Aのほうが安心」という正反対の仮説が成立したのです。
このように、「集団全体に成立する仮説と、集団を分割したときに成立する仮説が、正反対になること」は、この現象を見つけた英国の統計学者の名前を取って、「シンプソンのパラドックス」と呼ばれています。この現象は、集団の個体数を考慮せずに、無闇にデータを分割したり、まとめることのリスクを示唆しているともいえます。
集計方法を変えればランキングを上げられる
集団を分割する際、軽症患者と重症患者のように患者の症状で分割するのではなく、性別や年齢などによって集団を分割したとすると、分割した集団の死亡率はそれぞれ異なる数値になるでしょう。つまり、シンプソンのパラドックスを使って、集団全体をうまく分割すれば、「自分にとって都合のいい数字」を、意図的に導き出すことも可能なのです。
大病院Aの院長なら、軽症患者、重症患者ごとの死亡率を併用して、「軽症でも、重症でも死亡率が低い」と、イメージアップのPRをするかもしれません。反対に、小病院Bの院長は、入院患者全体の死亡率を使って、「大病院Aよりも死亡率が低くて安心」と、印象操作をしようとするかもしれません。
私は、厚生労働省在職中に多くの医療従事者の指導を受け、彼らに感謝しているし、尊敬もしています。とはいえ、病院などの医療機関や医師などの医療従事者は、自分たちの組織の経営や自分の生活のためにも仕事をしているのです。病院にとって都合のいい数字だけを見せることがあっても、むしろ自然なことだといえるかもしれません。
これまで見てきた厚労省の役人や医療従事者のように、社会的な責務を負っている人が提示する数字でも、安易に信じてはいけません。数字の裏の「隠された狙い」を見抜く思考トレーニングが必要なのです。