ザ・バンク 堕ちた巨像

ザ・バンク 堕ちた巨像』(原題:The International)2009年アメリカ・ドイツ・イギリス共同制作

ドイツのベルリン中央駅の駐車場から映画が始まる。

「なぜ、銀行がカルビーにからミサイル誘導装置を買う理由はなんだ」

半ばではニューヨークのグッゲンハイム美術館での銃撃シーンはすごいと思っていたが、巨大なレプリカを作って撮影したらしい。

国際メガバンクIBBCの違法行為を捜査するインターポール のルイ・サリンジャーの目の前で証人が死ぬ。ベルリンに検事補エレノア・ホイットマンを呼ぶが、警察からドイツ国内での活動を禁じられてしまう。インターポール本部に戻ったサリンジャーは証人の関係者の死に関する報告に矛盾を発見、ルクセンブルクのIBBC本部に乗り込む。頭取との面会は断られ、矛盾も修正されていたが、IBBCの犯罪を知る重要人物の情報が入る。欧州最大の軍事メーカー社長で次期イタリア大統領候補のカルビーニである。面会でIBBCが企てる紛争国を借金まみれにして裏で支配する陰謀の情報を得る。直後、カルビーニが暗殺され、犯人もでっち上げられる。2人もミラノからの退去が命じられる。だが、空港で暗殺者の手がかりを掴んで、ニューヨークへ。特徴的な義足の足跡から暗殺者コンサルタントを発見。その後を追うと、グッゲンハイム美術館で彼を待っていたのはIBBC本部で目にした頭取の側近ウェクスラーだった。そこに響く銃声。コンサルタントの口を封じるためのIBBCの差し金だった。激しい銃撃戦の中、コンサルタントは死亡。真実への手がかりを失ったサリンジャーを、ホイットマンが美術館で捕らえたウェクスラーを確保している場所に連れて行く。サリンジャーの説得に、歴史に翻弄されたウェクスラーは捜査への協力を約束。残り少ない人生、彼も正義を取り戻したかったのだ。しかし、政府、多国籍企業、犯罪組織など「国際的な」あらゆる組織に関与するIBBCの裏を暴くことは、司法の枠を越えることを意味していた。家族の命が狙われる危険のあるホイットマンを残し、サリンジャーは1人で立ち向かう決意をする。最終取引の地トルコのイスタンブールのブルーモスク に向かう。

この映画でも追い追われるシーンでは、

グランバザール 赤レンガ屋根が使われていた。

グランド バザールの本物の歴史的輝き • グランド バザール イスタンブール (grandbazaarist.com)

サリンジャー:私も今日美術館にいました。あの暗殺者を操っていたのは、あなたですよね。私が近づきすぎたのでIBBCは、あなたに彼を殺すように命じた。近づいただけで、あればけの殺し屋をやとい、始末しようとする連中です。あなたのこの状況を知ったらどうするでしょうね。

ウェクスラー:死はすべての人間に訪れるものだ。

サリンジャー:あなたは大義のためなら死を恐れないことも、資料を読めばわかります。不正に手を貸すことが大義ですか?

ウェクスラー:事実と記録は得てして異なるものだ。事実と違い、記録には道義が必要だ。

サリンジャー:理解できません。旧東ドイツ時代あなたは、真の共産党員として秘密警察で30年資本主義と戦った。なのになぜ、その悪の象徴ともいえるIBBC銀行のために晩年を無駄にするのですか?共産主義の理想に人生を捧げ、永遠(とわ)のためにすべてを犠牲にした、その果ては?・・・・奥さんに逃げられ、娘さんは自殺、ベルリンの壁の崩壊とともに人生を無くした。

ウェクスラー:君になにがわかる? 人生の意味などとうに見失っていた。私も一度は君のような人間になろうとした。揺るがぬ意思を持った、嘘のない信念の男、だが、できんのだ、挫折から立ち直るのは難しい。人生を予測することなど誰にも出来んのだ。

はじめは気づかぬくらいの僅かな変化だ、徐々に自分が変わり、最後には理想とかけ離れた人間になってしまう。環境は人を変える。

サリンジャー:いいえ、人は選べるし、その道はあなたが選んだ。

時として人は、避けてきた運命に出会うことがあります。スカルセンとIBBCは、正義の裁きを受けるべきなんです。

ウェクスラー:正義だと、あり得ない。

サリンジャー:なぜです。

ウェクスラー:サリンジャー捜査官? 君が理想とする正義は、幻想に過ぎん。君が仕え守ろうとしているシステムは、スカルセンとIBBCを決して罪に問うことはない。それどころか、システムがIBBCの安全を保障しているんだ。なぜなら、みんな、グルだからだ。

サリンジャー:みんなというのは?

ウェクスラー:ふっ、ヒズボラ、CAI、ふっ、コロンビアの麻薬カルテル、ロシアの組織犯罪集団、イラン、ドイツ、中国、イギリスの政府、あらゆる多国籍企業、すべてだ。彼らは、黒い取引を行うためには、IBBCのような銀行がどうしても必要なのだ。君の操作が無視されるか、妨害を受けてきたのはそういう事情だ、IBBCが裁かれることなどあってはならない、だから、そうなる前に、君も私も消されるだろう。

サリンジャー:では、どうすればいいんですか? 黙って、諦めて、これが現実だと納得しろと、・・・

冗談じゃありません。方法は絶対にあるはずですIBBCは必ず叩き潰せる、協力してください。

ウェクスラー:わかっているのかね。IBBCを本気でつぶすつもりなら、司法で守られた枠の中にいては絶対に無理なんだ。枠の外に出なくては、だが、それには、実に大きな犠牲がともなうことになる。どうだ、目的達成のために大事な理想を捨てられるか。難しい選択だな。よくわかる。だが、君も言ったじゃないか、時として人は、避けてきた運命に出会うことがある。そうだろ。

 

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