エディアカラ紀
エディアカラン(Ediacaran period、エディアカラ紀)とは、地質時代の区分の1つである。新原生代クライオジェニアンの終わりから古生代カンブリア紀の始まりまでの約6億2000万年前〜約5億4200万年前である。原生代の最後の区分である。2004年に国際地質科学連合(IUGS)が、先カンブリア時代層序小委員会の勧告に基づきその基底 (Enorama Creek GSSP) を公式に批准した[1][2]。
顕生代 | ||
原生代 | 新原生代 | エディアカラン |
クライオジェニアン | ||
トニアン | ||
中原生代 | ステニアン | |
エクタシアン | ||
カリミアン | ||
古原生代 | スタテリアン | |
オロシリアン | ||
リィアキアン | ||
シデリアン | ||
太古代(始生代) | ||
冥王代 |
5.7億年前、生物たちはなぜ複雑になったのか | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト (nikkeibp.co.jp)
カナダ東部のニューファンドランド島に、ミステイクン・ポイントと呼ばれる岬がある。生命の進化に関する大きな謎を解く鍵を握る場所として知られている。かつて30億年以上にわたって繁栄した微小な単細胞の生物たちから、多細胞で複雑な大型の生物が突如、それも大量に出現したのはなぜだろうか?
そうした新種の生物たちは遅くとも5億7000万年前から世界中に広がっていた。だがそれらの最も古い化石は、ミステイクン・ポイントでしか見つかっていない。古生物学者たちは何十年も前からこの岬を訪れ、重要な意味をもつとみられる化石の調査を続けている。
ミステイクン・ポイント生態系保護区内の砂利道を進み、崖を下りたところに、肋骨と背骨が連なるヘビの骨格のようなものが約1メートルにわたって刻まれていた。謎めいた時代の、不可思議な生き物だ。「この時代になって生物は初めて大型化したのです」。岩にひざまずいたまま、カナダのトロント大学ミシサガ校のマルク・ラフラムが言った。
こうした形態をもつ生物たちはエディアカラ生物群と呼ばれ、オーストラリア南部のフリンダーズ山脈で最初に見つかった。その一部は「クラゲに似ている」ように見えた。また、現生種か絶滅種かを問わず、いかなる既知の生物とも似ていないものもあった。
それらは、地球上の生命が劇的に多様化した「カンブリア爆発」より1000万年以上も遡る、約5億5000万年前の化石だった。研究者たちはそれまで、カンブリア爆発を境にして、私たちが「動物」と呼ぶ複雑で大型の生物が出現し、その多くが現存する子孫を残しているのだと信じていた。しかしこの発見は、エディアカラ紀と呼ばれるようになったその時代が、大型化と複雑化の歴史の出発点だったことを示した。
現在では南極を除くすべての大陸の40カ所近い場所から、50種以上のエディアカラ紀の生物が発見されている。何十億年にもわたって微生物だけしかいなかったのに、なぜエディアカラ紀になって、生物は大型化し、世界中に広がることになったのだろうか?
※ナショナル ジオグラフィック4月号「生命が複雑になったとき」では、5.7億年前、地球の生物が小さく単純なものから大きく複雑なものへ進化した時代に焦点を当てます。