きのこと動物―森の生命連鎖と排泄物・死体のゆくえ

相良直彦 – Wikipedia

きのこと動物

動物と菌類の食う・食われる、
動物の尿や肉のきのこへの変身、
きのこから探るモグラの生態、
鑑識菌学への先駆け、
地べたを這う研究の意外性、
菌類のおもしろさを生命連鎖と物質循環から描き、
共生観の変革を説く。

けものや昆虫と菌類、菌食と虫食
菌漬けの状態で育つハキリアリ
ヒトの放尿もきのこにとっては大事件
きのこの長い地中柄(ちちゅうへい)の秘密
動物・植物・菌類三者の共生
ようこそ森の循環の深相を探る旅へ

放尿跡、モグラのトイレ、死体や巣の分解跡に好んで生えるアンモニア菌を、
地道な実験と観察によって、世界で初めて発見した菌類学者が、
地中で繰り広げられる動物と菌類のドラマを描いた幻の名著を改訂復刊する。


出版社からのコメント

キノコの本はたくさん刊行されており、昨今きのこブーム・菌類ブームと言われていますが、動物との関係から菌類を探求しているものはあまりありません。
本書は、菌類と動物と植物のきってもきれない関係を、動物の尿、糞、死体などが朽ち果てた後(跡)に生える一群の菌類を発見、生態群「アンモニア菌」「腐敗跡菌」を確立し、また「鑑識菌学」の先駆けとして世界的に評価されている著者により、動物と菌類の〈食う・食われる〉、尿や肉のきのこへの変身、きのこから探るモグラの生態(きのこの観察からモグラが同じ巣を何世代にもわたって長期利用することを発見)など、これまでにわかったことを余すところなく語りつくしています。
足の下の地中で繰り広げられる動物と菌類と植物の世界への驚き、わくわく感。そこにはもちろん人間の営みも入っています。なんだか土を踏みつけてはいけないような気分にもなってきます。
また、地道な実験・観察によって興味深い発見していく、ある事象から次々と発想を展開し、仮説を立て、さらに実験・観察を行うという、研究の楽しさ、フィールドサイエンスの面白さを、本を読みながら存分に味わうこともできます。
次に森に行ったら、いや都会の公園でも、そこで絶妙な生命のやりとりが行われていること、自分もその大きな自然の循環のなかの一部であることを感じつつ歩くと、きっと自然がより興味深く、深遠なものに思えてくるのではないでしょうか。

著者について

[略歴]
1938年、大分県に生まれる
1960年、京都大学農学部卒業
1962年、京都大学大学院農学研究科修士課程修了
1966年、京都大学大学院農学研究科博士課程退学、京都大学教養部助手
1975年、京都大学教養部助教授、1989年、同教授
1992年、京都大学大学院人間・環境学研究科教授(改組、配置換え)
2001年、定年退職(63歳)
2001~2003年、京都工芸繊維大学非常勤講師
2001~2008年、龍谷大学非常勤講師
農学博士、京都大学名誉教授

尿、糞、死体などが朽ち果てた後(跡)に生える一群の菌類を発見し、生態群「アンモニア菌」「腐敗跡菌」を確立した。
また、モグラの生態研究にも独自の道を開いた。

[定年後の活動]
2000~2008年、京都に半年(研究継続、非常勤講師)、郷里大分県の山間地に半年(百姓)。「百姓ハ百生ナリ、何でもやる」。
2009年以降、郷里に独居、百姓継続。
2011年以降、「やまくに山村塾」(成人向き勉強会)主宰。
2014 年、わな猟狩猟免許取得。
2016年、伐木等(チェインソー)業務資格取得。
2018年、車両系建設機械(油圧ショベル、ブルドーザーなど)運転免許取得。
山林を(個人で)所有することを勧めている。


きのこの「毒」や「光」は何のため…意外に知らない、森の生きものたちとの「関係」

 

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