「無能なのに、なぜか一目置かれている会社員」に共通している8つの特徴
企業再生コンサルタント兼プロ経営者の中沢光昭と申します。コンサルティング会社や投資ファンドに長く勤めたあと、業績の悪い会社をよくするために、コンサルティングだけでなく、クライアントの要望に沿うために、雇われ経営者も投資家も同時に行い続けております。
会社の非常時になって改めてむき出しになる会社員の欲や栄枯盛衰の実態をたくさん見てきました。実際に目の当たりにした情報をもとに、会社員にとって実効性のある情報をお伝えしたいと思います。
◆いつの時代も人事評価に不公平感はつきもの
会社組織で働いていると人事評価は結果重視であろうが、プロセス評価重視であろうが、人が人を裁く以上、不公平感はつきものです。
同じ制度の下で同じような能力と経験値を持った人が複数いた場合、同じように評価されるはずですが、実際にはそんなことは珍しい。所属している部署や担当している業務によってもブレますし、上司の性格によってもブレてしまいます。
ただひとつ、どんな制度であってもいえるのが、仕事の機会や周囲から助けられる機会に恵まれている人は何かにつけ有利ということ。それは単に評価だけでなく、「居心地のよさ」なども含めてです。
◆優秀な人だけにチャンスが与えられるわけじゃない
そして、必ずしも優秀であったり、キレ者と見られていたりする人がチャンスに恵まれるとも限りません。アホっぽいとかいじられキャラだったりする人が、なぜか機会に恵まれることは多々あります。
同世代の同僚、特に優等生にとっては「なんであいつが?」と嫉妬の対象になるかもしれません。えてして当人は気にもしていないことが多いですが……。
今回はそんな能力は高くないはずなのに、なぜか周囲から一目を置かれて仕事のチャンスに恵まれる会社員の特徴を挙げていきます。
◆特徴①「返事は『はい』か『Yes』」
「口ごたえ」というと、とてもネガティブな印象があるので「はい、自分はよく口ごたえします」という人はなかなかいないと思います。つまり、大半の口ごたえには、自覚がありません。
本人にしてみれば、「自分の思ったことを言っただけ」「何か意見を言わないと何も考えてないと思われる」などの理由で話していても、受け手からすると口ごたえに感じ取られます。
もちろん受け手の個性によりけりなので、A部長にとって口ごたえに感じることは、B部長にとっては「根性があっていいじゃないか」「いろんなこと考えているじゃないか」などと前向きに捉えられたりもします。
◆「何か違うな?」と思っても一度は受け止める
世の中には意味のない意見などありません。しかし、ちゃんと受け入れられる、受け止められるかどうかは、内容よりも言い方やタイミングによって左右します。
サラリーマンがその目的に沿うために安全な行動は、何かを依頼されたり打診されたりした際には、とりあえず元気よく「はい!」と返事することです。
もしも「何か違うな?」と思ったとしても、とりあえずその場は受け止めて、あとから冷静に考えて違うと思う理由を伝える場やタイミングや切り出し方を考えるのがいいでしょう。
ただし、チャンスをもらえるタイプの人間は、そもそもそこまで深く考えずに条件反射で気持ちのいい返事をしているように感じます。
◆特徴②「よく笑い、イジられても否定しない」
いくらワークライフバランスだ、テレワークだと働き方が多様化して変わっていったとしても、会社員に期待される役割のひとつに「場を和ませる」ということがあります。
人の性格や資質によって向き不向きはありますが、特に管理職になるまでの期間は個性に関係なく、貢献すべき役割ともいえます。
◆何を言われたって、受け流して場を和ませる人にチャンスは回る
その役割を果たすためにも、何かイジられたりした際は笑ってやり過ごすことです。
いくらそれが正しい主張だとしても、反論したりムキになったりしては、「とっつきにくい人だなあ」と思われます。
チャンスが回ってくる人は何を言われたって、受け流して場を和ませる人です。
◆特徴③「飲み会には最後までいる。誘われたら必ず行く」
職場の人との飲み会はお酒が嫌だったり、人付き合いを億劫に感じたりする人にとっては苦痛かと思います。
「これって残業かよ」と思う人も多いと聞きますし、そう言いたそうな顔をしている人も何回も見たことがあります。
◆飲み会で聞いた話や感じたことを忘れない
そのことの是非はサラリーマンにとっては永遠のテーマでしょう。ですが、チャンスに恵まれる人は共通して、職場の飲み会に誘われて断ることはまずありません。
そして、そこで聞いた話や感じたことをきちんと覚えています。単に酒に溺れたり、ウェイウェイしていたりするだけでは評価されることはないです。
◆特徴④「LINEを聞かれたら瞬時に教える」
Facebookに続き、いまや世代を問わず連絡ツールの中心になったLINE。だからこそ最近はLINEで業務連絡を回すなど、仕事にも使う企業が増えています。
そして、それに伴って、プライベートにずかずか入り込んできている感じをとても嫌がる人も増えています。
◆スピード感がそのまま信頼につながる
価値観の問題なので、とても難しい問題ではあります。この難題について是非を深く考えることは本稿では割愛しますが、チャンスが巡ってくる人の行動パターンはシンプルです。
上司や年長者、あるいは同僚から「交換しようか」と言われた際、躊躇なくQRコードを差し出します。
返事はスタンプだけであっても、早いのも特徴。そのスピード感が信頼につながるわけです。
◆特徴⑤「年長者によく質問する」
何かを訪ねたり質問したことに対して、上司や先輩から「そんなことも知らないのか」という顔をされたり、言われたりするのは辛いものです。
できることなら遭遇しないまま会社員生活をやり過ごしたいところですが、なかなかそうはいきません。一度そういう経験をしてしまうと、次から聞くのが怖くなるのが普通でしょう。
ただ、こうした事態が発生した場合も聞く内容自体よりも聞き方や聞くタイミング、聞き方の問題が原因の大半を占めるのが現実です。もちろん、上司や先輩の性格が悪いケースもありえましょう。
それでも、めげずに次はどういう聞き方をすればいいのか、どういう手段で聞けばいいのかということを考えて反省して次も質問するべきです。
◆「何を考えているのかわからない人」は愛されない
チャンスに恵まれる人は共通して、そこまで考えているのかどうかはわかりませんが、ほとんどめげません。ただ、より明るくこまめに聞いているかもしれません。zoomで3人以上で打ち合わせをしたあと、上司や先輩に確認の電話をしたりもします。
上司や先輩にとって気持ちの悪い後輩は「何を考えているのかわからない人」です。
面倒くさい質問をされることよりも「この人の理解度はこれくらいなのか」「こんなことすらもわかっていないのか」「まあ、わかればいいや」と思う方が、「あの人はいつも黙ってるけれど、いったい何を考えてるんだろうか?」と思うよりもはるかに落ち着くのでしょう。
◆特徴⑥「遅刻も早退もしない」
以前は携帯電話、その後はSNSが発達したからか、待ち合わせについての遅刻の捉え方が昭和世代とは大きく変わってきています。
そもそもGoogleマップを見ながら歩けばよほど方向音痴でもない限り、誰でもどこにでも行けるので目的地に現地集合すればいいので、待ち合わせという言葉自体が古くなってきているのかもしれません。
ところが会社生活ではなかなかそうはいきません。取引先に訪問する際に「じゃ、先方の会議室に適当に集合ね」というわけにはいかないので、ビルのロビーや近くの喫茶店や最寄り駅で待ち合わせしたりすることになります。そうすると世代間ギャップが一気に噴出します。
◆待ち合わせでストレスを与えないことが肝心
昭和のおじさんは10分前集合が当たり前の感覚で話していても、若手世代は「時間前に行けば問題なくないっすか? 遅れそうになったらメッセージ入れておくんで、先に入っててください」ともなりがちです。
チャンスに恵まれる人は「時間前ならいいでしょ」「そういう問題じゃないんだよ、余裕をもってだな……」のような不毛なやり取りをさせません。
日常的にキビキビした態度をしていなくても、待ち合わせだけは心配させる必要もなく時間前にいます。
◆特徴⑦「彼氏や彼女の有無は隠さず話す」
職場によっては口に出すことはすべてNGであったりするものの、興味津々なのが、同僚の独身社員に彼氏や彼女がいるかどうかです。職場によっては堂々と正面から聞く先輩や上司もいます。
自分からわざわざその有無を言いう必要もありませんし、気にする人はそんなことは聞かれても「プライベートなことなので内緒です」と答えておけばいいでしょう。
◆個人的なことでペラペラと自発的に喋る
ところが、チャンスに恵まれる人は、あまり気にせずにいるとかいないとか、いる場合にはどんな人なのか、何をしているのかなどペラペラと喋ります。
聞いてないことまで喋ったりもするので、かえって一度聞いたら二度目の質問はなかったりします。
◆特徴⑧「特定のキーマンにだけずっぽりハマる」
チャンスに恵まれる人は、万人に好かれていたり、評価されていたりするわけでもありません。やっかみもあれば、相性の良し悪しもあるので、嫌っている同僚や先輩、大人げない上席もいます。
ところが不思議なことに共通して、特定のちょっと偉い人に評価されています。なかには、その特定の人以外からは総スカンで低評価だったりもします。
◆平均的に高評価である必要はない
それでも、チャンスは何も公平なオークションのもとに降ってくるわけでもありません。特定の偉い人からダイレクトに振ってきたりもするので、平均的に高評価である必要も何もありません。
実際のところ、恵まれれば恵まれるほどにやっかみも出てきますし、自分は評価されていないという人からは非難の対象にもなります。そうした無言の圧があったとしても、全然気にしないところも共通しています。
◆世の中は理不尽で不平等であることをまず受け止める
「勉強はできなさそうなのにチャンスを与えられるサラリーマン」というテーマでしたが、いかがでしょうか?
筆者自身、組織の末端で働いていた頃は決してかわいがられていたタイプ、チャンスが降ってくるタイプでもなかったので、そうしたタイプの同僚を見た時には心の底から理不尽を感じたものでした。
世の中は理不尽で不平等であることをたくましく受け止めて、その中で生き抜くサバイバル力を持っている人にチャンスは降ってくるのかもしれません。
今も昔もこうした姿勢を「会社員のあるべき姿」ともまったく思いませんが、会社社会というものはそういうものであり続けるのでしょう。
【中沢光昭】
株式会社リヴァイタライゼーション代表。経営コンサルタント。東京大学大学院修了後、投資会社、経営コンサルティング会社で企業再生などに従事したのち、独立。現在も企業再生をメインとした経営コンサルティングを行う。著書に『好景気だからあなたはクビになる!』(扶桑社)などがある