仕事の質が「時間」に比例しないケースも
仕事の種類に応じた評価が必須

ただし、仕事には2パターンあって、時間をかけないと終わらない仕事と時間をかけなくても終わる仕事があります。

うちの会社で前者に当てはまるのは、サポートスタッフの仕事です。例えば資料を作成して製本するような仕事のアウトプット量は、かけた時間に比例するので、勤務時間内に終わらないときは申し訳ないけれど残業をしてもらって、当然、その対価として残業代を払います。

一方、コンサルタントの仕事のアウトプットはかけた時間に比例しません。“腕の良しあし”によるので、経験と知識が豊富で能力の高い人が短時間で出した答えのほうが、そうでない人が時間をかけて出した答えよりも優れていることは珍しくありません。そのため評価もアウトプットで行います。

このように経営者は、知的労働に対しては労働の対価を、働いた時間の長さではなく、アウトプットの質やそれに対するお客さまの評価、ひいては、いくらいただけるかで評価する必要があります。

そのためには、かけた時間にアウトプットの質や量が比例しないような職種では、職務内容に応じて人材を起用する「ジョブ型雇用」「成果給」の導入も検討すべきでしょう。社員のほうは、もちろん努力は必要ですが、プロ野球選手と同じように、バッターボックスに立ったときに打てなければいくら練習熱心でも評価されないことを理解し、残業は非効率という意識を持たなければなりません。

一方、評価が難しいのはテレワークで働く人たちです。

テレワークで働いていると、どこからどこまでが残業なのか線引きが曖昧になります。先ほど例に挙げた、時間とアウトプット量が比例するサポートスタッフのような仕事の場合、その仕事に必要と考えられる時間をかけていて、それが残業時間にかかるならもちろん残業ですが、コンサルタントのような知的労働ではそれがはっきりしません。そのためアウトプットの質と量だけで評価する必要が出てきます。