「幸せな人生を送る」ために大事だと、僕が思うたった一つのこと
———- 『歴史学者という病』――そんな題名だけ聞くと、さぞかし怖い本のように思うかもしれない。しかし、実際に読んでもらえればわかるが、この本は歴史学者・本郷和人の人生を本人が語りながら、生きていくことの辛さや不可解さ、そして、面白さや可能性などについても触れている。そこで特別企画として、この本にはあまり収録できなかった話を中心に「人生相談」風にまとめてみた。題して「人生の難問は歴史学者に聞け。本郷和人のルサンチマン人生相談」です! 第一回は、「幸せの正体」について、です。 ———-
今回の相談事項
「自分は幸せになりたいのですが、幸せだと思えることがなかなかありません。幸せな人生を送るようにするにはどうすればいいのでしょう?」
自分には出世も金儲けも無理だった
「幸せな人生って何だろう」と、僕は子どものころからずっと考え続けてきた。
自分より優秀そうな級友、物知りで世間の情報に詳しくて、大人からのウケもいい人間が僕の周囲にはたくさんいた。
こういう奴らが出世して金儲けするのかな、そういう、お金や名誉を手に入れる人生が、やっぱり幸せな人生なんだろうな、と思ったこともある。
でもね「僕にはそんな人生は無理だ」と、最初からあきらめていた。 出世もお金儲けも自分に縁がないと思っていたし、そもそも興味もなかったし。
子どものころ、僕は「人を助ける」ような仕事をしたいと思っていた。
ぜんそくという病気を抱えていた僕は、病気の人を助けたい、医者になりたいという夢があった。
でも、小学校時代に通っていた塾の理科実験で、どうしてもフナの解剖ができなくて、人間の身体にメスを入れるなんて考えただけでも絶対ムリ! と断念。
それでも人を助けたいと、今度はお坊さんを目指したものの、ある日家に来た坊さんに「いやー5000万円で寺の株を買いましてね」などと自慢されて幻滅、その夢もあきらめた。
周囲から見たら、挫折の連続に見えるかもしれない。
でも、僕は一つだけ自分の意地を貫いたことがあった。
それは「やりたいことをやる」そんな人生を送ろうと思っていた――ということだ。
「無用者」こそが最強の生き方
本郷和人さん(撮影:森清)
そんなときに僕は一冊の本に出会った。
唐木順三という学者が書いた『無用者の系譜』(筑摩叢書)という本だ。
簡単に言うと、「社会の役には立たないような人間=無用者こそが、実は『自由に生きる理想的な人間像』なのだ」と論じた本だ。
歌人の在原業平、僧侶の一遍上人、作家の永井荷風といった、自由に、そして知的に生きる人生をとりあげながら、「無用者だっていいじゃないか。やりたいことをやればいい人生じゃないか」と論じる、その内容に僕は激しく賛同しながら、「そうか、大して世間の役には立たなくても、大してお金が稼げなくても、自分が充実した人生を送れれば、それは幸せな人生なんだな」と、まるで頭の中の霧が晴れたような爽快な気持ちになった。
長い人生、「幸せな人生」って何だろう、って考えこむ日が来るかもしれない。
他人の出世を目の当たりにするたび、自分より裕福な暮らしを送る人や世間から尊敬されている人を眺めたりするたびに、「羨ましい」とか「あいつらに比べてオレの人生はなんて不幸なんだ」と思ったりして、心を乱されることがあるかもしれない。
そんなときには、ちょっと立ち止まって考えてほしい。
「自分は『やりたいことをやる』人生を送っているだろうか」と。
答えが「イエス」ならば、おそらくあなたの人生は幸せだ。
嫌なこと、辛いことはあるだろうが、それでも幸せな人生だ。
反対に「ノー」ならば、今からでも遅くない。
どんな小さなことでもいいから「自分のやりたいこと」を始めてみよう。
そこからあなたの幸せな人生が始まる。 (ただし犯罪以外だよ! ) 構成:森田幸江
本郷 和人(東京大学史料編纂所教授)
AI支配、大半が「無用者階級」に 歴史学者・ハラリ氏の警告:朝日新聞デジタル https://t.co/veZMWRpAZ7
「『AIとバイオテクノロジー、生体認証などの融合により、歴史上初めて、独裁政府が市民すべてを常時追跡できるようになる』として、テクノロジーと独裁が融合する危険性に警鐘を鳴らした」— 田口善弘 (@Yh_Taguchi) September 7, 2019
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今回は超有益なはず。サピエンス全史の新しい著書を、かなり噛み砕きつつ、さらに「未来の稼ぎ方」もセットで解説しました。是非どうぞ pic.twitter.com/ATQQ9VcFWR
— Manabu (@manabubannai) June 4, 2020