「孤独は寿命を縮める」はウソだった…!最新研究が明かす「おひとりさま」のスゴい恩恵

「過干渉」がストレスをもたらす

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「孤独は寿命を縮める」と言われて久しい。孤独を感じることで血管系の疾患のリスクを高めたり、免疫力の低下を引き起こす――これが通説だ。

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では常に他人と一緒に生活を共にすればいいのか、といえば、そう単純な話ではない。人のつながりと健康との関係を研究している、東京都健康長寿医療センター研究副部長の村山洋史氏が解説する。

「孤独が様々な健康リスクを高めることは多くの研究によって示された確固たる事実です。ただ一方で、絆が強すぎてしまうと、無理にでも関わりを持とうとする『過干渉』の状態になってしまうとも考えられています。

私は地域のつながりが高齢者の健康にどう影響を与えるかを調べていますが、絆が強すぎる地域は、抑うつの発症率や死亡率が高いといったデータもあります。過干渉は、周囲のルールや慣習に従わないといけないという圧迫感を生み、それがストレスとなって悪影響を及ぼすと考えられます」

孤独がかえって長寿につながることを示すデータもある。スポーツ庁が10月12日に発表した「令和3年度体力・運動能力調査」によれば、65歳から79歳の体力は年々右肩上がりで向上している。その要因の一つとして挙げられるのが、同世代のひとり暮らし世帯の増加だ。

同居ならやらなくても済んだ家事や買い物を自分でするようになった。様々な日常の面倒ごとは自分で解決するしかない。その一連の動きが心身に好影響を及ぼす。

「結局、ひとりのほうがいい」

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東京都在住の小橋浩紀さん(仮名・76歳)は、10年前に妻に先立たれて以来、杉並区のマンションでひとり暮らしをしている。

子供もおらず、また、元々、人付き合いが苦手で群れるのが嫌いだったため、友人もほとんどいない。妻が亡くなった後は、ずっと孤独な老後人生を過ごしているが、その姿ははつらつとしている。

「大学生の時に実家を離れてひとり暮らしをしていたので、その頃から炊事、掃除や洗濯など、自分の身の回りのことは自分でこなしてきました。妻がいなくなって生活に困ったというようなことは、特段ありません。自分の面倒は自分で見て、好きな時に好きなことをして、対人関係のストレスもなく気ままに生きています」

ひとりで過ごすことを苦としない小橋さん。昨年、コロナ禍で人に会う機会がめっきり減った際には、「ちょうどいい」と、かねてより興味を持っていた東海道五十三次の宿場町を歩いて訪ねる旅に挑戦したという。

「今日はここまで、来週はあそこまでという感じで8ヵ月ほどかけて、東京の日本橋から京都の三条大橋まで、東海道を制覇することができました。孤独ですが引きこもっているわけでもないので健康そのものです。旅先で数少ない知人らに絵葉書などを書いて送るのも楽しいものです。

まったく寂しさを感じないかと言えばそんなことはありませんが、孤独が嫌だからと無理してこの歳で嫌な人と面倒な交流をするよりは、自分のやりたいように生きたほうが気楽でいい。『結局、ひとりのほうがいいじゃないか』と自分の中で結論が出ているので、どうとでもなりますね」

孤独と上手く付き合えば、寿命も延びていく。

「週刊現代」2022年10月29日号より

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