「お金持ちは服の数が少ない」2000軒以上の家を訪問した整理収納アドバイザーがそう語る理由
気温の高い日が続き、そろそろ意識したいのが衣替えです。去年まで着ていた洋服がたくさんあるはずなのに「着ていく服がない」と、慌ててしまう人は少なくありません。2000軒以上の住まいを訪れ、「お金持ちの共通点」と「モノがあふれている方の共通点」が明確にわかるようになったという、『「お金持ち」が知っている いつも片づく部屋づくり』(青春出版社)著者の広沢かつみさんに、頭を悩ませる人が多い「洋服」収納のコツを聞きました。
普段着をパターン化する
「お金持ちのクローゼットはキチキチに服が収まっておらず、ちょっと高級なブティックのような、ゆったりとした掛け方になっています。クローゼットやタンスは、あけたらひと目ですべてがわかる量が適切です」(広沢さん・以下同) 洋服の収納をゆったりさせるためには、「どんな服装をするか」も大事なポイント。広沢さんは「コーディネートを毎回考えるストレスや洋服を選ぶ時間がもったいない」と指摘します。 「思い切って、洋服はセットコーディネートにするなどパターンで収納しておくべきです。お金持ちの女性の服装は、ワンピースやセットアップ、着物が多いのです。 これは男性も同じで、お金持ちで、かつ服装を上下セットでパターン化していた代表的な人物は、アップル創業者のスティーブ・ジョブズ氏です。『服を選ぶ時間がもったいないから』と、常に黒のタートルとデニムだけを多々、クローゼットに入れていことは有名な話です」 ◆上下セットの服を持つほうが支出は少なくて済む 着まわせない服や安売りの服をたくさん持つよりも、上下セットの服を持つほうが無駄がなく、多少値が張っても長い目で見れば支出が少なくて済むといいます。 「また、高い服を長く着るためには、体型も維持しなくてはなりません。若々しく見えるお金持ちは、ジム通いをするなど、健康への意識も高いものです。小物などでアレンジすれば、服の数は多くなくても大丈夫。着回しできる服はアレンジの仕方を、できない服はある程度のパターンを決めておくと、外出前の悩む時間も大幅に減らせるのでおすすめです」
「似合っているもの」にしぼる
続いてのポイントは、持ち物、着るものをきちんと見せるコツです。 「ある自営業の女性は『身なりと身の回りをきちんとするだけで、見た目の印象は3割増しになる気がする』と話していました。反対に、どんなに顔かたちが整っていても、髪の毛はボサボサ、シミのついた洋服を着ていたら、5割減くらいに見えるでしょうか。 見た目は人を見るときの判断材料になり、見た目で生涯年収が大きく変わるという調査結果もあるくらい、大事なことなのです」 ◆数をしぼってしっかり手入れする では、どのような点に気を付けるとよいでしょうか。 「身の回りの持ち物や着るものをきちんとするためには、持ち物、着るものは少ないほうがよい。なぜなら、一つひとつのモノの手入れをすることができるからです。 手入れを怠らないためには、持ち物すべての手入れができる数だけ持つこと。そして、数が少なくても、きちんと見えて、似合っている服は人をキレイに見せてくれます。維持管理ができる数にしぼってみましょう」
「紙袋」に執着しない
服が多くて片づかない人にありがちなのが、買い物でもらう紙袋を大量に、大事に持っていることです。 「お金持ちのお宅には、紙袋がほとんどありません。お金持ちにとって紙袋は、『お店から家まで商品を入れてもってくるためのもの』。その紙袋を持って出かけるということは、ありえないのです。 ところが、片付けや整理が苦手なお宅で、『手放せないトップ3』に入っていると思われるのが紙袋です。特に、ブランドものの紙袋を手放すことを惜しいと思っている人は多いのではないでしょうか」 ◆「いつか使える」はやめる しかし、百貨店など一部の高級なお店だけで紙袋が配布されていた時代と今は異なります。エコな行動が推進される昨今、紙袋もレジ袋と同様、マイバッグなどの活用で減らすことが美徳とされてきています。 「紙袋は『何かに使えるかも』『いつか使えるかも』の『かもかも思考』を典型的に体現するものです。まずは、今ある紙袋を半分にしてみる。または、20枚とか30枚にしぼってみませんか。紙袋をもったいないと思わなくなれば意識は少しずつ変わっていきます」 多くのお金持ちがそうであるように、モノに執着しすぎず、シンプルな生活を送ることを意識するだけで、これまでの「片づかない生活」がガラリと変化するかもしれません。 ◆教えてくれたのは:広沢かつみさん 収納コーディネートなどを手掛けるコレモッタ株式会社代表取締役。一般社団法人日本専門家検定協会代表理事。リフォーム雑誌の編集長を経て2010年に独立。新聞・雑誌の連載を含めて2000件以上の片づけ・収納相談を受ける。講演会やセミナー受講者は全国に2万人以上、中国・台湾・香港にも3000人以上いる。『玄関から始める片づいた暮らし』『服が片づくだけで暮らしは変わる』(いずれも青春出版社)など著書多数。