第2回 対人認知とステレオタイプ

第2回 対人認知とステレオタイプ

私たちは日々、多くの他者と交流を重ねている。その際、相手をどのように認識するかは、円滑な社会生活を営んでいく上で極めて重要な問題であろう。しかし他者の印象は、その人物の特徴だけで決まるものでなく、むしろその相手を認知する側の様々な事情によって大きく左右される。なかでも認知者の既有知識は、対人認知に大きな影響を与える要因であり、ステレオタイプと呼ばれる特定のカテゴリー集団に対する知識は、対人認知を方向づける働きをする。

【キーワード】
対人認知、印象形成、ステレオタイプ、確証バイアス、自己成就的予言


1.対人認知とは何か
(1)中心特性と周辺特性
(2)対人認知における既有知識の働き

2.ステレオタイプ
(1)ステレオタイプとは何か
(2)偏見と差別
(3)ステレオタイプ内容モデル

3.対人認知の帰結
(1)確証バイアス
(2)期待としてのステレオタイプ
(3)自己成就的予言
(4)ステレオタイプ脅威


1.対人認知とは何か

認知とは、人間の高次の心の働きを示す概念。

対人認知とは、他社の外見や言動、社会的背景などの情報を手掛かりにして、その人物の内面にある感情や意図、パーソナリティ特性などを推測したりすること。

人の認知と物の認知の違い

・物質的・表面的な特徴よりも、性格、能力、感情といった心理的・内面的特徴の把握により重点が置かれる。

・印象が、知覚をする側の心理的過程や、知覚者と対象の関係性に強く規程される。

(1)中心特性と周辺特性

ソロモン・アッシュ(Asch,1946)の印象形成の研究

人が他者に与える特性には、全体の印象形成に大きな影響を与える「中心特性」と、さほど影響を与えない「周辺特性」の2つが存在していることがわかった。

(2)対人認知における既有知識の働き

暗黙の性格理論(Bruner & tagiuri,1954;Cronbach,1955)

2.ステレオタイプ

(1)ステレオタイプとは何か

性別、人種、職種、年齢など様々なカテゴリーで区分された集団やその成員に対して、抽象化された知識。

(2)偏見と差別

偏見・・・特定の集団やその成員に対する評価的・感情的反応

差別・・・特定の集団やその成員に向けられる具体的な行動

(3)ステレオタイプ内容モデル

両面価値的ステレオタイプ・・・・・ある側面においては否定的だが、別の側面では肯定的な[ステレオタイプ]
一方の次元(e.g., 人柄)がポジティブなら,他方の次元(e.g., 能力)がネガティブになる
e.g. 高齢者「無能だが温かい」という慈悲的ステレオタイプ
e.g. キャリア女性「有能だが冷たい」という嫉妬的ステレオタイプ

ステレオタイプ内容モデル・・・・・[stereotype content model]([Fiske, et al., 2002])

[ステレオタイプ]を[人柄]の次元と[能力]の次元の二次元でとらえるモデル

このモデルによると、人柄次元と能力次元に関するステレオタイプは、特定の集団成員が実際に持っている特徴というよりは、ステレオタイプを付与する側と付与される側との関係性によって規定される
敵対・競合集団→「冷たい」(人柄が悪い)という特性が付与されがち
味方・非競合集団→「温かい」(人柄が良い)という特性が付与されがち

3.対人認知の帰結

(1)確証バイアス

確証バイアスとは、自分がすでに持っている先入観や仮説を肯定するため、自分にとって都合のよい情報ばかりを集める傾向性のこと。

「認知バイアス」、つまり自分の思い込みや周囲の要因によって非合理的な判断をしてしまう心理現象の一種です。同じ認知バイアスに「正常性バイアス」や「ゼロサム思考」などがあります。

アッシュの研究

ケリーの研究

(2)期待としてのステレオタイプ

(3)自己成就的予言

根拠のい見立て思い込みを持つと人は無意識にその予言沿った行動をとるために、もともとは実現する予言現実ものとなる現象を指す語。「予言の自己成就」はアメリカ人社会学者ロバート・Kマートン提唱した

(4)ステレオタイプ脅威


ドクター・スミス問題

ドクター・スミスは、アメリカのコロラド州立病院に勤務する腕利きの外科医である。仕事中は常に冷静沈着で、大胆かつ慎重であり、難しい手術も手掛けると同時に、地元の市長からも厚い信頼を得ていた。

そのドクター・スミスが夜勤をしていたある日、コロラド州立病院の元に緊急の電話がかかってきた。電話の内容は以下の通りである。

「少年を救急車で運び込むので緊急手術をして欲しい。少年の父親がハンドルを誤って交通事故が発生。車は大破し、父親は即死」

その電話の20分後、重体の少年が病院に運ばれたが、その少年はなんと、ドクター・スミスの息子であった。


学習課題

1.キーワードに挙げられている言葉について説明してみよう。

2.同じ人物に対して、あなたと友人、家族が異なる印象を持った経験がないか考えてみよう。もしあったら、印象が異なる原因はどこにあるだろうか。

3.男子高校生、関西人、外科医に対して抱いているステレオタイプがないか考えてみよう。


 

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