発達心理学概論(’17)

発達心理学概論(’17)

Developmental Psychology (’17)

主任講師名:向田 久美子(放送大学准教授)

【講義概要】
発達とは、人が生まれてから死ぬまでに経験するさまざまな変化のことをさす。この授業では、乳児期から老年期までの発達段階を追いながら、各発達段階の心理的発達について概説する。現実生活との関連を踏まえた上で、発達の基礎的理論や研究方法、最新の研究成果を紹介する。

【授業の目標】
受講者が自らの人生を振り返り、将来を展望しながら、人間の発達全般についての理解を深めることをねらいとする。

【履修上の留意点】
特になし。

各回のテーマと授業内容

第1回 発達とは

心理学における「発達」の定義、その歴史的変遷について説明する。主な発達段階と発達課題、発達が生じるメカニズム、人間の発達の特殊性、初期経験の影響について概説する。

【キーワード】
生涯発達、発達段階、発達課題、遺伝と環境、生理的早産、初期経験

執筆担当講師名:向田 久美子(放送大学准教授)
放送担当講師名:向田 久美子(放送大学准教授)

第2回 発達心理学の諸理論

発達について、これまでいくつかの理論が提唱されている。5人の代表的な研究者(ピアジェ、ヴィゴツキー、エリクソン、ブロンフェンブレンナー、バルテス)による理論を紹介する。

【キーワード】
発生的認識論、発達の最近接領域、ライフサイクル論、生態学的発達理論、生涯発達理論

執筆担当講師名:向田 久美子(放送大学准教授)
放送担当講師名:向田 久美子(放送大学准教授)

第3回 発達研究の方法

人間の発達を明らかにしようとするとき、心理学の他分野と共通するアプローチのほか、発達独自のアプローチもある。研究事例をふまえながら、発達研究の方法を紹介する。

【キーワード】
縦断的研究、横断的研究、コーホート、実験、調査、観察、検査、ラポール

執筆担当講師名:上原 泉(お茶の水女子大学准教授)
放送担当講師名:上原 泉(お茶の水女子大学准教授)

第4回 乳児期の発達:知覚とコミュニケーション

人間の乳児は、話せない、自力で動けないという点では無力だが、生まれながらにもっている能力を生かして、周囲の環境に反応したり、自ら働きかけたりしている。そうした乳児のもつ知覚的有能さとコミュニケーション力について解説する。

【キーワード】
原始反射、ジェネラルムーブメント、感覚運動期、対象の永続性、喃語、共同注視、三項関係、社会的参照

執筆担当講師名:上原 泉(お茶の水女子大学准教授)
放送担当講師名:上原 泉(お茶の水女子大学准教授)

第5回 乳児期の発達:アタッチメントの形成

乳幼児期の発達の基礎となるアタッチメント(愛着)について紹介する。アタッチメントの基本的な考え方、その個人差と測定方法、アタッチメントの形成プロセスを中心に説明する。

【キーワード】
アタッチメント(愛着)、基本的信頼感、内的ワーキングモデル、ストレンジ・シチュエーション法

執筆担当講師名:福島 朋子(岩手県立大学准教授)
放送担当講師名:福島 朋子(岩手県立大学准教授)
ゲスト:北川 恵(甲南大学教授)

第6回 幼児期の発達:言葉と認知

幼児期は、表象や概念、言葉の発達が著しい。語彙や文法だけでなく、コミュニケーションスキルも向上する。時間認識が芽生え、記憶の仕方も変わる。こうした幼児期の言葉と認知の発達について解説する。

【キーワード】
語彙爆発、外言と内言、前操作期、心の理論、自伝的記憶、メタ記憶、実行機能

執筆担当講師名:上原 泉(お茶の水女子大学准教授)
放送担当講師名:上原 泉(お茶の水女子大学准教授)

第7回 幼児期の発達:自己と社会性

幼児期は自己認知が可能になり、他者との関係の中で自分を主張したり、抑制したりするスキルを身につけていく。周囲との関わりの中で進む自己と社会性の発達プロセスについて解説する。

【キーワード】
自己認知、自己観、第一反抗期、自尊感情、性同一性、自己制御、社会性

執筆担当講師名:塘 利枝子(同志社女子大学教授)
放送担当講師名:塘 利枝子(同志社女子大学教授)

第8回 児童期の発達:認知発達と学校教育

児童期には、書き言葉の習得が始まり、論理的思考力が高まる。学習内容も徐々に難しくなるが、動機づけのあり方が学習に影響を及ぼす。児童期の認知発達と学びについて概説する。

【キーワード】
一次的ことば/二次的ことば、ワーキングメモリ、メタ認知、9歳の壁(10歳の壁)、領域固有性/領域一般性、動機づけ、学校教育

執筆担当講師名:上原 泉(お茶の水女子大学准教授)
放送担当講師名:上原 泉(お茶の水女子大学准教授)

第9回 児童期の発達:自己概念と社会性

児童期は学校教育の影響を強く受け、仲間との関係が重要になってくる。その中で発達する自己概念や性役割観、道徳性や向社会的行動について説明する。

【キーワード】
自己概念、性役割観、仲間関係、視点取得、道徳性、向社会的行動

執筆担当講師名:塘 利枝子(同志社女子大学教授)
放送担当講師名:塘 利枝子(同志社女子大学教授)

第10回 青年期の発達:アイデンティティの形成

青年期には、第二次性徴をはじめ、心身に大きな変化が生じる。人間関係や進路で悩むことも増え、アイデンティティ(自我同一性)を模索するようになる。そのプロセスについて、周囲の人間関係や時代による変化を踏まえながら概説する。

【キーワード】
思春期、第二反抗期、アイデンティティ(自我同一性)、自立、心理的離乳

執筆担当講師名:福島 朋子(岩手県立大学准教授)
放送担当講師名:福島 朋子(岩手県立大学准教授)

第11回 成人初期の発達:大人への移行

成人初期は、活動の場が学校から職場に移行し、親元を離れて自活したり、結婚を考え始めたり、新しい家庭を築くなど、役割や責任、ライフスタイルが大きく変化する。この時期の心理的発達について概説する。

【キーワード】
ライフコース、ライフサイクル、キャリア形成、恋愛と結婚、社会的役割

執筆担当講師名:福島 朋子(岩手県立大学准教授)
放送担当講師名:福島 朋子(岩手県立大学准教授)

第12回 成人期の発達:中年期危機とジェネラティビティ

成人期は、仕事や家庭、地域での責任が増し、さまざまな形で次世代育成に関与する。その一方で、自身の体力の衰えや職業上の限界、子どもの巣立ちなども経験し、人生の軌道修正が必要になってくる。この時期の課題と心理的発達について概説する。

【キーワード】
中年期危機、親になること、夫婦関係、職業、熟達化、ジェネラティビティ、ケア

執筆担当講師名:向田 久美子(放送大学准教授)
放送担当講師名:向田 久美子(放送大学准教授)

第13回 老年期の発達:喪失とサクセスフル・エイジング

老年期は、心身の衰えや、それまで担ってきた役割からの引退、近親者との別れなど、喪失体験が増えてくる。一方で、認知能力の向上や、肯定的感情の増加といった獲得的変化も生じている。老年期の発達とサクセスフル・エイジングについて解説する。

【キーワード】
喪失、老化、知能、英知、SOCモデル、サクセスフル・エイジング、インテグリティ

執筆担当講師名:向田 久美子(放送大学准教授)
放送担当講師名:向田 久美子(放送大学准教授)

第14回 発達と環境:メディアの影響

発達に関与する環境要因はさまざまなものがあるが、ここでは電子メディア(テレビやゲーム、インターネットなど)を取り上げ、それらが子どもの発達や行動に与える影響について考察する。

【キーワード】
電子メディア、攻撃性、社会性、認知能力、健康、メディア・リテラシー

執筆担当講師名:向田 久美子(放送大学准教授)
放送担当講師名:向田 久美子(放送大学准教授)
ゲスト:鈴木 佳苗(筑波大学准教授)、米田 謙三(羽衣学園高等学校教諭)

第15回 発達と環境:文化の影響

近年、心理学研究における文化的背景の重要性が認識されるようになってきている。人が発達する過程において文化の影響がどのような形で見られるのか、文化心理学の研究成果をもとに考察する。

【キーワード】
発達と文化、文化的自己観、子育て、教育、文化的産物

執筆担当講師名:向田 久美子(放送大学准教授)
放送担当講師名:向田 久美子(放送大学准教授)

メディア
ラジオ
放送時間 2021年度 [第2学期](月曜)
23:15~00:00
単位認定試験日/時限 2022/01/30  6時限
(15:35~16:25)
学部・院 教養学部
科目区分 (’16カリ)
コース科目 導入科目 心理と教育
科目コード 1720023
ナンバリング 230
単位数 2単位
単位認定試験平均点 2020年度2学期(88.5点)
2020年度1学期(95点)
インターネット配信 あり
改訂回 なし
改訂内容
履修制限
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