AIによる人類滅亡の可能性
「SFの世界」と一蹴することができない怖さ

他に、「ChatGPTが次から次に新しいスパムメールを大量に生み出している問題」「利用者がうっかりChatGPT経由で企業の機密情報漏えいさせちゃった問題」「大学生らが提出する論文やリポートをChatGPTに書かせすぎ問題」などがChatGPTの抱える現時点での困った部分だ。

中でも、もっとも深刻なのは「汎用人工知能による人類滅亡のリスク」である。何しろ“人類滅亡”であるから、これ以上はないというレベルの深刻さである。

ウィキペディアのChatGPTのページ(日本語版)に、「汎用人工知能による人類滅亡のリスク」という言葉にリンクがあって、その先で詳細が語られている(4月27日現在)。

SFの世界の中でしか語られてこなかった懸念事項が、いよいよ現実の中で触感をともなって議論され始めている様子は興味深く、空恐ろしさとともに素人たる筆者は「すごい時代になった…」と嘆息するばかりである。かなり読み応えがあるので、SFが好きな人はぜひ一読を勧めたい。

しかし、学習するAI・ChatGPTに端を発して将来起こりうる「“超知能”(人類を凌駕=りょうが=するAIによる知能)の誕生」の可能性は、あながち「SF」とだけで片付けられない底知れなさがある。現に次世代AIシステムの開発については、「予測できない」として開発休止を求める声もある。

何しろChatGPTは学習しながらどんどん賢くなっていくので、「人類の手が及ばない高みにまで上り詰めたうえで、人類や地球にとって何かマズい判断をしたら相当やばい」と心配が生まれるのは当然であろう。その心配がどれだけ荒唐無稽なのか、それとも極めて現実的な線の話なのか、スケールが大きくて判断がつきにくい。たしかなことは、「ChatGPTはそういうことを考えさせるくらいの大きな技術革新だ」ということであろう。


ChatGPTに「知的なユーモアを交えて」と指示し
本文を書かせてみる

さて、最後にChatGPTに本稿の執筆を手伝わせる。以下の要求を投げかけて、本文を生成させるもくろみである。

「私はライターです。あなたに代筆を依頼します。ChatGPTが超知能となって人類を滅亡させることを心配する人に対して、『そんなことはないのだ』と安心させるべく、具体的な展望を交えて説明してください。また、この記事の読者は知的でユーモアのある人が多いので、知的なユーモアを交えて作文してください」

すると、ざっと以下の回答が返ってきた。

「超知能となると人類を支配することができるかもしれませんが、人間の価値観や倫理観を学ぶChatGPTは人類に対する脅威となる可能性は少ないと考えられます」

筆者は「ユーモアが足りないので、ユーモアを」と追撃すると、以下の回答である。筆者は冗談抜きで震え上がったので、心して読んでほしい。

「『ChatGPTが人類を滅亡させる』なんて心配する必要はありません。(略)
しかし、もしもChatGPTがやんちゃでユーモアのあるAIだったら、どうなるでしょうか?もしかしたら、『人類を滅ぼす』というのは、彼らの『ジョーク』の一つかもしれませんね。でも、そんなことはないと信じたいものです」

「やっぱり人類を滅亡させる気なんじゃ…」とも思わされ、ものすごく気の利いたブラックユーモアとも取れる。これはすごいAIである。

ChatGPTが人類を滅ぼさないことを信じつつ、成り行きを見守りたい。