若い人には分からない? 「そんな名称だったの!?」駅5選 改元で住所まで変えた例も

古い列車の写真を眺めていると、行先表示に知らない駅名が表示されていることがあります。ただし廃止されたわけではなく、駅名が改称され馴染みがなかったとすると、同様の例はどのくらいあるでしょうか。有名な駅5つを挙げてみました。

行先で見かけるあの駅も…

鉄道の駅名は開業時から現在に至るまで、同じ名称を使い続けるとは限りません。たとえば茨城県龍ケ崎市にあるJR常磐線の龍ケ崎市駅は、2020年春までは「佐貫」を名乗っていたものの、市が知名度アップを狙ってJR東日本へ駅名変更を要請し、変更。ほかにも古い路線図や列車の写真を眺めていると、耳慣れない駅や行先表示を見つけることがあります。

Large 220604 kakky 021994年11月撮影(画像:いわき市)。

今回は「そんな名称だったの!?」と思える比較的有名な駅を5つ紹介します。

平(たいら)駅

JR常磐線と磐越東線が乗り入れる、現在のいわき駅です。始発・終着列車が多数設定されており、行先としてもよく目にするでしょう。福島県いわき市にありますが、開業時は「平」を名乗っていました。これは所在地にちなむもので、駅のある場所が平地区だからです。

地区は今でこそいわき市の一部ですが、1896(明治29)年4月に町として発足。その後、1937(昭和12)年6月に周辺の自治体と合併し市となり、1966(昭和41)年10月にいわきへ改称しています。なお、駅名はしばらく平でしたが、市の要望を受け1994(平成6)年12月、いわき駅となりました。

北福岡(きたふくおか)駅

JR東北新幹線と東北本線、IGRいわて銀河鉄道線が乗り入れる、現在の二戸駅(岩手県二戸市)です。特に新幹線は一部の「はやぶさ」も停車します。

同駅は1891(明治24)年12月、私鉄の日本鉄道の駅として開業。なお当時は「福岡」でした。国有化されて15年後の1921(大正10)年6月、「北福岡」に改称しました。これも先述の平駅と同様、地名由来です。

ただし福岡町は1972(昭和47)年4月、周辺の自治体と合併し二戸市となったことで消滅。駅名はしばらく残りましたが、分割民営化直前の1987(昭和62)年2月、二戸駅へ改称しました。2023年現在は駅北東にある福岡城(九戸城)などに、その名を残しています。

いまや「のぞみ」も停車する小郡駅とは

JR山陽新幹線と山陽本線、山口線、宇部線が乗り入れる新山口駅(山口県山口市)はかつて、「小郡」(おごおり)を名乗っていました。開業は1900(明治33)年12月。同駅も地名由来(旧小郡町)です。

Large 220604 kakky 01現在は「のぞみ」も停車する新山口駅は、かつて「小郡」を名乗っていた(画像:写真AC)。

新山口駅へ改称したのは、新幹線の速達列車「のぞみ」が停車するようになった2003(平成15)年10月のこと。ダイヤ改正に合わせ、JR西日本が申し入れを行い、改称しています。

ちなみに2023年現在の住所は「小郡令和1丁目」。住所に元号「令和」が入る珍しい例ですが、これは駅周辺に「小郡大正町」「小郡平成町」などが所在するため、その慣例にならい地元住民が要望したからです。

ナゴヤ球場前駅

ナゴヤドームの最寄り駅、名古屋市営地下鉄ナゴヤドーム前矢田駅(名古屋市東区)の旧名称かと思いきや、名鉄名古屋本線の山王駅(同市中川区)です。プロ野球チームの中日ドラゴンズ本拠地が、かつてナゴヤ球場にあったためでした。

ただし山王駅は、1944(昭和19)年9月に開業した際も所在地にちなみ「山王」でした。球場の完成から8年後の1956(昭和31)年9月に「中日球場前」へ、さらに20年後の1976(昭和51)年の元日に「ナゴヤ球場前」へ改称しています。

その後1997(平成9)年3月、ナゴヤドームの完成とともに中日ドラゴンズが本拠地を移転。それを受け、8年後の2005(平成17)年1月に開業当時の名称である「山王」へ戻されました。なお、ナゴヤ球場は現在、練習場などとして活用されています。

2社が交わる原町田(はらまちだ)/新原町田駅

東京都町田市にある現在の町田駅です。JR横浜線と小田急線が乗り入れ、今でこそ両社ともに町田駅ですが、かつては国鉄が「原町田」を、小田急が「新原町田」を名乗っていました。どちらも所在地に由来し、2023年現在も住所は原町田です。

Large 220604 kakky 031975年頃の現・町田駅付近の様子(国土地理院の地図を加工)。

開業は横浜線が先。1908(明治41)年9月、私鉄の横浜鉄道によってでした。小田急の駅が開業するのは1927(昭和2)年4月のことです。

時代が下った1976(昭和51)年4月、小田急百貨店や駅ビルの開業を前に、まずは小田急が「町田」へ改称。その4年後、再開発に伴い国鉄の駅も小田急側へ移転したことから、横浜線も「町田」となりました。なお当時、国鉄にはもうひとつ町田駅(宮原線:大分県)があったため、重複するからと駅名改称には難色を示したそうです。

※ ※ ※

東京圏ではほかにも、浅川駅(現・高尾駅:JR中央線)、氷川駅(現・奥多摩駅:JR青梅線)、グラウンド前停留場(現・武蔵小杉駅:JR南武線)、西銀座駅(現・銀座駅:東京メトロ丸ノ内線)などが、知名度はあるものの以前は異なる意外な名称だった駅として挙げられるでしょう。

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