第9回 内臓機能の調節-1

人体の構造と機能(’22)-人体の構造と機能及び疾病A-

Structure and Function of the Human Body (’22)

主任講師名:坂井 建雄(順天堂大学特任教授)、岡田 隆夫(順天堂大学特任教授)

【講義概要】
私たちの健康は正常な構造が正常に機能して初めて可能となる。看護師などの医療職に就くためには私たちの身体の正常な構造を知り、それがどのように機能しているかを理解しておく必要がある。私たちの身体の中には胃や腸、心臓、筋肉等々さまざまな器官・組織があるが、これらは互いに独立して働いているわけではなく、筋運動をすると心拍が速くなることからもわかるように、相互に密接に関連しながら機能している。このような機能の調節をも含めて、トータルとしての人体の構造と機能を理解することを目標とする。

【授業の目標】
人体の構造をマクロ・ミクロの両面から系統的に学ぶ。
人体の各器官系の機能を調節系も含めて系統的に学ぶ。

【履修上の留意点】
限られた時間内で全てを講義することは不可能であり、教科書による自己学習が必須である。予習をしてあることを前提として授業を展開する。疑問の点、わからない点は積極的に質問するよう、心がけてほしい。
「動物の科学」「生命分子と細胞の科学」(いずれも学部開設科目)を学んでおくと理解しやすい。また、発展・応用科目としての「健康長寿のためのスポートロジー」の受講もお薦めする。
※この科目の通信指導問題の解答および提出はWebのみとなります。通信指導問題冊子は送付されませんのでご注意ください。

第9回 内臓機能の調節-1

自律神経と内分泌によるホメオスタシスの維持機構の概略を解説する。

【キーワード】
交感神経、副交感神経、内分泌腺、ホルモン分泌

執筆担当講師名:岡田 隆夫(順天堂大学特任教授)
坂井 建雄(順天堂大学特任教授)
放送担当講師名:岡田 隆夫(順天堂大学特任教授)


問題 3 自律神経に関する①~⑤の文章のうちから、正しいものを一つ選べ。

① 脊髄神経と交感神経幹が交わる場所が幹神経節である。 不正解です。
② 大・小内臓神経は交感神経幹から分かれ出る。
③ 迷走神経には副交感性の節後線維が含まれる。
④ 唾液腺には迷走神経が分布する。
⑤ 顎下神経節には交感性の節後ニューロンがある。

フィードバック正解は②です。

【解説/コメント】

①交感神経幹は脊柱の両側を縦に走っていて、脊髄神経と交差する位置関係にあるが、交わることはない。交感神経幹には脊髄神経に対応して幹神経節という膨らみがあり、2本の交通枝(白交通枝、灰白交通枝)が幹神経節と脊髄神経との間をつないでいる。
②大・小内臓神経は、胸部の交感神経幹から分かれて腹大動脈の前面の神経節に向かう枝である。
③迷走神経には、胸腹部内臓を支配する副交感神経の節前線維が含まれている。
④耳下腺に分布する副交感性の節前線維は舌咽神経の中に含まれ、耳神経節で乗り換えてから耳下腺に分布する。顎下腺と舌下腺に分布する副交感性の節前線維は顔面神経の中に含まれ、顎下神経節で乗り換えてから顎下腺と舌下腺に分布する。
⑤顎下神経節には副交感性の節後ニューロンがある。頭部の腺に向かう交感性の節後ニューロンは、頸部の交感神経幹の幹神経節に含まれる。


問題 4 交感神経が興奮したときに認められる変化を、①~⑤のうちから一つ選べ。

① 縮 瞳
② 血管拡張
③ 気管支拡張 正解です。
④ 心拍数減少
⑤ 消化液分泌亢進

フィードバック正解は③です。

【解説/コメント】

①縮瞳は副交感神経が興奮したときに生じます。交感神経が興奮すると散瞳を生じます。
②血管は交感神経の単独支配です。交感神経の興奮が低下したときに血管は拡張します。
③正解です。
④副交感神経が興奮すると心拍数が減少します。交感神経の興奮では心拍数は増加します。
⑤これも副交感神経が興奮したときに起こる現象で、交感神経が興奮したときには消化液の分泌は抑制されます。

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