第4回 働くことにかかわる心理臨床

第4回 働くことにかかわる心理臨床

キャリア発達、ワーク・ライフ・バランス、職場復帰支援など、中高年の働くことにかかわる問題と心理臨床的支援について論じる。

【キーワード】
中高年、キャリア、キャリア発達、ワーク・ファミリー・コンフリクト、ワーク・ライフ・バランス、職場復帰支援


心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き

~メンタルヘルス対策における職場復帰支援~
心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き

~メンタルヘルス対策における職場復帰支援~

<第 1 ステップ> 病気休業開始及び休業中のケア

労働者から管理監督者に主治医による診断書(病気休業診断書)が提出され、休業が始まります。管理監督者は、人事労務管理スタッフ等に診断書(病気休業診断書)が提出されたことを連絡します。休業する労働者に対しては、必要な事務手続きや職場復帰支援の手順を説明します。労働者が病気休業期間中に安心して療養に専念できるよう、次のような項目については情報提供等の支援を行いましょう。
・傷病手当金などの経済的な保障
・不安、悩みの相談先の紹介
・公的または民間の職場復帰支援サービス
・休業の最長(保障)期間等     など

<第 2 ステップ> 主治医による職場復帰可能の判断

休業中の労働者から事業者に対し、職場復帰の意思が伝えられると、事業者は労働者に対して主治医による職場復帰が可能という判断が記された診断書の提出を求めます。診断書には就業上の配慮に関する主治医の具体的な意見を記入してもらうようにします。
主治医による診断は、日常生活における病状の回復程度によって職場復帰の可能性を判断していることが多く、必ずしも職場で求められる業務遂行能力まで回復しているとの判断とは限りません。このため、主治医の判断と職場で必要とされる業務遂行能力の内容等について、産業医等が精査した上で採るべき対応を判断し、意見を述べることが重要です。
なお、あらかじめ主治医に対して職場で必要とされる業務遂行能力に関する情報を提供し、労働者の状態が就業可能であるという回復レベルに達していることを主治医の意見として提出してもらうようにすると良いでしょう。

<第 3 ステップ> 職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プランの作成

安全でスムーズな職場復帰を支援するため、最終的な決定の前段階として、必要な情報の収集と評価を行った上で職場復帰ができるかを適切に判断し、職場復帰を支援するための具体的プラン(職場復帰支援プラン)を作成します。この具体的プランの作成にあたっては、事業場内産業保健スタッフ等を中心に、管理監督者、休職中の労働者の間でよく連携しながら進めます。
3 職場復帰支援の各ステップ
ア 情報の収集と評価
職場復帰の可否については、必要な情報を収集し、さまざまな視点から評価を行い総合的に判断することが大切です。情報の収集と評価の内容は次のとおりです。
(ア)労働者の職場復帰に対する意思の確認
(イ)産業医等による主治医からの意見収集
診断書の内容だけでは不十分な場合、産業医等は労働者の同意を得た上で、必要な内容について主治医からの情報や意見を収集します。(P22,様式例1)
(ウ)労働者の状態等の評価
治療状況及び病状の回復状況、業務遂行能力、今後の就業に関する労働者の考え、家族からの情報3
収集した情報の評価をもとに……
職場復帰が可能と判断された場合……
イ 職場復帰の可否についての判断
職場復帰が可能か、事業場内産業保健スタッフ等が中心となって判断を行います。
ウ 職場復帰支援プランの作成
以下の項目について検討し、職場復帰支援プランを作成します。
(ア)職場復帰日
(イ)管理監督者による就業上の配慮
業務サポートの内容や方法、業務内容や業務量の変更、段階的な就業上の配慮、治療上必要な配慮など
(ウ)人事労務管理上の対応等
配置転換や異動の必要性、勤務制度変更の可否及び必要性
(エ)産業医等による医学的見地からみた意見
安全配慮義務に関する助言、職場復帰支援に関する意見
(オ)フォローアップ
管理監督者や産業保健スタッフ等によるフォローアップの方法、就業制限等の見直しを行うタイミング、全ての就業上の配慮や医学的観察が不要となる時期についての見通し
(カ)その他
労働者が自ら責任を持って行うべき事項、試し出勤制度の利用、事業場外資源の利用※衛生管理者等、事業所内の保健師等及び心の健康づくり専門スタッフ、人事労務管理スタッフ等
事業者
主治医
労働者
家族
産業医
管理監督者
(職場の上司)
事業場内
産業保健スタッフ等※
(エ)職場環境等の評価
業務及び職場との適合性、作業管理や作業環境管理に関する評価、職場側による支援
準備状況
(オ)その他
その他必要事項、治療に関する問題点、本人の行動特性、家族の支援状況や、職場復帰の阻害要因等

<第 4 ステップ> 最終的な職場復帰の決定

第 3 ステップを踏まえて、事業者による最終的な職場復帰の決定を行います。

ア 労働者の状態の最終確認
疾患の再燃・再発の有無等について最終的な確認を行います。
イ 就業上の配慮等に関する意見書の作成
産業医等は「職場復帰に関する意見書」等を作成します。(P23,様式例3)
ウ 事業者による最終的な職場復帰の決定
事業者は最終的な職場復帰の決定を行い、就業上の配慮の内容についても併せて労働者に対して通知します。
エ その他職場復帰についての事業場の対応や就業上の配慮の内容等が労働者を通じて主治医に的確に伝わるようにします。(P23,様式例4)

<第 5 ステップ> 職場復帰後のフォローアップ

職場復帰後は、管理監督者による観察と支援のほか、事業場内産業保健スタッフ等によ
るフォローアップを実施し、適宜、職場復帰支援プランの評価や見直しを行います。
ア 労働者の状態の最終確認
疾患の再燃・再発の有無等について最
終的な確認を行います。
イ 就業上の配慮等に関する意見書の作成
産業医等は「職場復帰に関する意見書」
等を作成します。(P23,様式例3)
ウ 事業者による最終的な職場復帰の決定
事業者は最終的な職場復帰の決定を行
い、就業上の配慮の内容についても併せて
労働者に対して通知します。
エ その他
職場復帰についての事業場の対応や就
業上の配慮の内容等が労働者を通じて主
治医に的確に伝わるようにします。(P23,
様式例4)
ア 疾患の再燃・再発、新しい問題の発生等の有無の確認
疾患の再燃・再発についての、早期の気づきと迅速な対応が不可欠です。
イ 勤務状況及び業務遂行能力の評価
労働者の意見だけでなく、管理監督者からの意見も合わせて客観的な評価を行います。
ウ 職場復帰支援プランの実施状況の確認
職場復帰支援プランが計画通りに実施されているかを確認します。
エ 治療状況の確認
通院状況、病状や今後の見通しについての主治医の意見を労働者から聞きます。
オ 職場復帰支援プランの評価と見直し
さまざまな視点から評価を行い、問題が生じている場合は、関係者間で連携しながら、
職場復帰支援プランの内容の変更を検討します。
カ 職場環境等の改善等
職場復帰する労働者がよりストレスを感じることの少ない職場づくりをめざして、作業
環境・方法や、労働時間・人事労務管理など、職場環境等の評価と改善を検討します。
キ 管理監督者、同僚等の配慮
職場復帰をする労働者を受け入れる職場の管理監督者や同僚等に、過度の負担がか
かることのないよう配慮します


労働安全衛生調査 労働安全衛生調査(実態調査)|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

患者調査の概況 令和2年(2020)患者調査の概況|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章 – 「仕事と生活の調和」推進サイト – 内閣府男女共同参画局 (cao.go.jp)

政府の取組 – 「仕事と生活の調和」推進サイト – 内閣府男女共同参画局 (cao.go.jp)

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