第4回 乳児期の発達:知覚とコミュニケーション

第4回 乳児期の発達:知覚とコミュニケーション

人間の乳児は、話せない、自力で動けないという点では無力だが、生まれながらにもっている能力を生かして、周囲の環境に反応したり、自ら働きかけたりしている。そうした乳児のもつ知覚的有能さとコミュニケーション力について解説する。

【キーワード】
原始反射、ジェネラルムーブメント、感覚運動期、対象の永続性、喃語、共同注視、三項関係、社会的参照


1.姿勢、身体運動の発達と身体指標

リーチング:少し離れたところにある対象に、触れるために手を伸ばすこと

原始反射の一つである把握反射が消失し、随意的な把握へと移行する時期

描画の発達、・なぐり書き時期、・象徴期、・図式期

ジェネラルムーブメント

・ライジング

・フィジェティー

バビンスキー反射

モロー反射(驚愕反射)

歩行反射(自動反射)

把握反射

サッケード:見たい対象にすぐに目を動かす瞬間的な眼球移動

追跡眼球運動:運動する目標を目で追っているときに現れる眼球運動

馴化ー脱馴化法、選好注視法

選好注視法とは、ファンツにより考案された乳幼児期の子供の知覚機能を検査するための方法である。具体的には、乳児の前に異なる刺激図形を提示し、どちらの図形をより長く注視するのかを測定するというものである。その結果、乳児期の子供でも、単純な図形より複雑な図形、特に人の顔を好んで注視する傾向があることが分かった。選好注視法は、乳児の記憶や視力を測定する際にも用いられる。

2.感覚・知覚の発達

ランドルト環

視覚的断崖装置

視覚的断崖

視覚的断崖とは、ギブソンとウォークにより考案された子供が奥行き知覚をしているかどうかを測定する装置である。視覚的断崖は、一方はガラスが床に直接接しているが、もう一方は1m程下に床があり、深さを知覚できるつくりになっており、床には市松模様が描かれている。この装置の床のある方に乳児を置き、床の無い方から母親が呼びかけると、しばらくは近づこうとハイハイしてくるが、床がなくなったところで躊躇する。これは、乳児が奥行きを知覚しているからであると解釈された。事実、心拍数を測定すると、床の無い所で向上することが確かめられている。

視力や奥行きの手がかり、運動視差、両眼視差

7.1 立体視の原理

人間が立体感を感じる生理的な要因としては、以下の項目があります。
・両眼視差:両眼を使って対象を見ることで起こる、左右の目における網膜像の差異。
・輻輳   :対象物を注視するときに起こる両眼の視線が注視点となす角度。
・運動視差:観察者と対象物の相対的な運動によって生じる網膜像の変化。
・焦点調節:水晶体の調節による対象物に対するピント合わせ。

現状のVRのディスプレイ装置では、映像の投影面が固定されているため、一般に焦点調節の制御は行えず、両眼視差、輻輳、運動視差の効果によって立体視映像の生成を行います。
まず両眼視差の効果を用いるには、左右の視点に応じた映像をそれぞれ生成します。これらの映像を人間の両眼に対して正しい位置に提示することで、輻輳の効果を利用することができます。また3次元位置計測センサを用い、利用者の頭部位置の動きに応じた映像を生成することで運動視差の効果を利用することができます。

感覚運動期

表象:眼前にないことを思い浮かべること

シェマ(認識の枠組み)、同化、調節、均衡化・・・・シェマにあわせて情報を取り入れて(同化させて)いくが、新しい情報がシェマにあわないと、その情報にあわせてシェマ自体を変更(調整)し、その繰り返しを通じてより安定度の高い認識段階へ移行(斬新的に均衡化)していく。(Pasget.1964)

対象の知覚の仕方 知覚の恒常性、対象の永続性

知覚の恒常性とは、刺激対象がある程度変化しても、「明るさ、大きさ、形、色、音」などの知覚においては、同一であると分別されることを指します。 知覚に関わる様々な脳の特異的な処理のメカニズムのひとつです。

対象の永続性(モノの永続性)とは 対象(モノ)が隠れたりして、視界から消えても、存在し続けていると理解・認識すること。 主に、発達心理学の分野で、乳幼児の発達時に見られる現象として用いられる。 ピアジェの発達段階説(認知発達段階説)では、感覚運動期(生後2歳前後まで)に見られる現象とされている。
3.コミュニケーションの発達
共鳴動作:反射的に表情を模倣するような行動
情動伝染:他の乳児が泣くと泣き出す
人は生まれつき、他者に合わせようとする社会的な志向性を有していると言える

人が生まれつき、まわりに合わせようとする社会的な志向性を持っているかどうかについては、研究や学説によって異なる意見があります。反対との関係を重視する傾向を持っていると主張しています。

例えば、社会心理学の一分野である「帰属の分類」という概念では、人が反対とのつながりを求める傾向を持つとされています。人間は生まれた時から、愛着や所属を求める社会的なニーズを持ち、向かいに合わせようとする傾向があるとされています。

また、発達心理学の探求からは、子供が社会化の過程で親や他の大人に合わせようとする傾向を持つという研究結果もあります。 、自分を相手に合わせることで社会的な共同生活を学んでいくとされています。

しかし、人間の行動は個人差や文化、環境によっても異なるため、すべての人が生まれつきまわりに合わせようとする社会的な志向性を持っていると断定することはできません。性格や行動の傾向を持ち、社会的な行動も個人の性格や経験、文化的背景などによって異なるため、一概にすべての人が生まれつきまわりに合わせようとは言い切れません。

共同注意

三項関係

 

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