第3回 心理統計法:記述統計と推測統計

心理学研究法(’20)

Psychological Research Methods (’20)

主任講師名:三浦 麻子(大阪大学大学院教授)

【講義概要】
心理学の諸領域で用いられている基礎的な研究法について講義する。学習者が自らテーマを設定して研究を計画し、一連の科学的実証手続きを経てそれを遂行できるようになることを目指して、心理学の研究者・実践家としての心構えを含めて、スキルとテクニックを教授する。

【授業の目標】
心理学の諸領域で用いられている基礎的な研究法を学び、それらをふまえて自らテーマを設定して研究を計画し、収集したデータを分析・考察するという一連の科学的実証手続きを遂行するためのスキルとテクニックを習得することを目指す。

第3回 心理統計法:記述統計と推測統計

心理学で測定するデータの特徴について説明した上で、得られたデータそのものの特徴を知る統計手法(記述統計)とその背後にある対象の全体像を見通す統計手法(推測統計)について概説する。

【キーワード】
尺度、基礎統計、推測統計、統計的仮説検定、ベイズ統計

執筆担当講師名:三浦 麻子(大阪大学大学院教授)
放送担当講師名:三浦 麻子(大阪大学大学院教授)


1. 心理統計法とは何か
(1)心理学研究とデータ
(2)尺度
(3)「心理尺度」の尺度水準
2.記述統計
(1)1変数の特徴を知る

間隔尺度や比率尺度で測定されたデータの散布度の統計量としては,平均値を基準として指標化する分散や
標準偏差が良く用いられます.標準偏差は,英語Standard Deviationの頭文字をとって SDと表記することも多
いです.

これらの統計量の元になるのは個々のデータの平均からのずれです.これを偏差といいます.

分散は偏差を 2乗したデータの平均値で,この例なら0.5と5000です.分散の平方根をとったものが標準偏差で,この例なら0.71と70.71です.両者の値を比較すれば,散らばり具合が大いに異なることを実感できるでしょう.心理尺度で測定されたデータの特徴を記述する際は,平均値と標準偏差を報告する場合が多いです.

(2)標準化
(3)2変数の関連を知る

ピアソンの積率相関係数

3.推測統計
(1)母集団と標本(サンプル)
(2)統計的仮説検定

標本統計量は標本を抽出するたびごとに変動するのだから,ある標本統計量は母集団の全体像を正しく表していないかもしれない

(3)ベイズ統計による仮説評価


母集団および標本(サンプル)について次の①~④の中から正しいものを一つ選べ。

① 母集団とは研究対象としたいすべての人々のことであるから,全数を対象とすることは不可能である。

関心のある対象全体のことを母集団といい、そのうちわれわれが扱うことができた範囲のことを標本という。

② 母集団全体の特徴を探るために,標本(サンプル)を対象としてデータを収集し,分析する統計手法を記述統計という。

その背後にある母集団に関する推測を試みるのが推測統計である。

③ 母集団からどういう標本(サンプル)が選ばれるかによって偶然生じる変動の大きさのことを標準偏差という。

母集団からどういう標本(サンプル)が選ばれるかによって偶然生じる変動の大きさをあらわす統計量は標準誤差です。標準偏差はある変数の値のもつばらつきの程度をあらわす統計量のことです。

④ 母集団における平均や分散について,統計的仮説検定が依拠する頻度論に基づく統計では定数だと考える一方で,ベイズ統計では確率変数であると考える。

 

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