第3回 心理アセスメント2―信頼性と妥当性、知能・発達検査―

第3回 心理アセスメント2
―信頼性と妥当性、知能・発達検査―

心理アセスメントにおいて用いる心理検査について、検査の信頼性と妥当性などについて解説するとともに、主な知能検査と発達検査について解説する。

【キーワード】
心理検査、信頼性と妥当性、標準化、知能検査、発達検査


1.心理アセスメントと心理検査

定量化:数値によって目に見える形にし、心理的特徴を数値の大小によって理解できる形にすること

測定(measurement):定量化するための「ものさし」を作成し、それにより定量化する営み

尺度(scale):作成されたものさし

(1)信頼性(reliability)

測定されたデータの精度や再現性に関する概念

再検査法 心理テストや知能テストの信頼性を評価することを目的に、同じテストを、間隔を置いて同じ対象者に2度行う。 2度のテストの得点間の相関係数を求めそれを信頼性係数とする方法。 テストと呼ばれることもある。

平行検査法 「平行検査法」とは、内容や構成概念、難易度がほぼ等しい2種類の検査を作成し、両者の測定値間の相関係数から等価性を確認する方法です。 相関係数を信頼性係数の推定値とし、その値から信頼性を評価します。

折半法 「折半法」とは、尺度の項目群を2つに分け、両群の相関係数から内的整合性を確認する方法です。 折半法での信頼性係数は、相関係数の値をスピアマン-ブラウン(Spearman-Brown)の公式に当てはめて算出します。

・α係数による内的整合性の検討 内的整合性internal consistency

(2)妥当性

検査が測定したい内容を適切に測定しているかにかかわる概念である。

内容的妥当性 content validity 妥当性の一種で、テストや心理測定で測定しているものが、真に自分の調査の対象としているものを測定できているかについての妥当性のこと。測定値の妥当性を評価する外部基準が得られないものがある場合には、テストや心理側的を構成している項目が、測りたいものを過不足なく測れているかを専門家などにより判断する。例えば国語のテストで漢字の書き取りだけを行っても国語力のすべてを調べているとはいえないので、内容的妥当性は低いということになる。

基準関連妥当性 テストや心理測定によって得られた値が、外部基準と高い相関を持つかどうかを指す指標。 例えば上司として能力検査であれば、部下や同僚による外部評価、業績などが外部基準となる。 能力検査の得点と外部基準の相関が低ければ検査の妥当性は低いということになる。併存的妥当性 予測的妥当性基準関連妥当性は、同時期に行われた外部評価や類似のテストとの相関を見る併存的妥当性(concurrent validity)と、業績などのように後になって分かるような基準との相関を見る予測的妥当性(predictive validity)に区分される。

構成概念妥当性 ある評価法が,測定しようとする概念や特性をどれだけ適切に反映しているかを意味します. 言い換えると,全体的に見て個々の因子を組み合わせたとき,測定項目全体が意図するものを測っているかどうかに関する妥当性のことをいいます.

(3)標準化

一連の過程を経て一定の共通した実施法を確立し、検査から得られた結果に基準を設定する作業

(4)テスト・バッテリー 一般には,まず実施の容易なタイプの知能検査と性格検査を実施し,知能や性格の特徴を大まかにつかんでから,個々のクライエントのニーズや問題性に応じた検査を選択,実施していくという方法がとられることが多い。 このような検査の組み合わせをテスト・バッテリーと呼ぶ。

2.心理検査と医療保険制度

3.知能検査

(1)ビネー式知能検査

ビネー式知能検査は、ビネー(Binet,A)シモン(Simon,T.)が開発し、ターマン(Terman,L)によって修正・発展された知能を測定するための検査です。

日本では、田中ビネー(田中寛一)鈴木ビネー(鈴木治太郎)が代表的だそうですよ。

(現場では田中ビネーしか見たことないですが・・・)

 

と、そんなことは正直どうでもよいのですが、最初にこの検査の位置付けを確認しておきましょう。

以下の図版をご覧ください。

ビネー式知能検査は、主にインテーク面接の過程(とも限らないが)で行われる、臨床心理アセスメントの際に用いられる技法のうち、クライエントの知能を測定する検査法の一つであると述べることができます。

ウェクスラー式知能検査の概要

ウェクスラー式知能検査は、1939年刊行のウェクスラー・ベルビュー知能検査を起源とする、70年以上の歴史を持つ知能検査です。この検査は、児童期や成人期においては、現在の日本において最もよく使われる知能検査のひとつです。

ウェクスラー式知能検査には、年齢に応じて児童版のWISC(Wechsler Intelligence Scale for Children、通称ウィスク)、成人用のWAIS(Wechsler Adult Intelligence Scale、通称ウェイス)、幼児用のWPPSI(Wechsler Preschool and Primary Scale of Intelligence)の3種類があります。いずれも、専門家(公認心理師や臨床心理士等)が受検者と1対1で行う個別式の検査です。

ウェクスラー式知能検査の特徴

ウェクスラー式知能検査は、 児童期から成人期まで測定可能な尺度として、人間の知的発達面の理解やその経年的構造の変化をとらえようとしたという点が大きな特徴です。その後の研究によって、2つの区分は4つの指標得点へと洗練されました。(後述)

また、 障害によって結果に一定の傾向がみられることも特徴のひとつとして挙げられます。たとえば、知的障害の場合、各評価点にそれほど差がみられず全般的に低くフラットに近いという特徴があります。よって、ウェクスラー式知能検査の結果は、知的障害や発達障害の診断材料のひとつとして用いられることがあります。(※ただし、知能検査のみで診断が下りることはありません)

4.発達検査

子どもの心や体の発達度合いを調べることを「発達検査」といいます。

毎日の生活のなかで発達について気になることが出てきたり、幼稚園や保育園などで発達の遅れを指摘されるなどして、子どもの発達に関して不安を感じている保護者も少なくないでしょう。なかには、病院での検査を検討している方もいるかもしれません。その場合に受ける検査が発達検査です。

新版K式発達検査

その年齢において、一般的と考えられている行動や反応と、対象の子どもの反応がどれくらい合致するかどうかを評価する検査を新版K式発達検査といいます。

「姿勢・運動(P-M)」、「認知・適応(C-A)」、「言語・社会(L-S)」の3領域の評価により、対象の子どもの発達指数と発達年齢を知ることが可能です。また、子どもが3歳以上だと「認知・適応」、「言語・社会」に重点が置かれることが多いようです。

 

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