第15回 心理学研究の倫理2:臨床的研究の実施のために

心理学研究法(’20)

Psychological Research Methods (’20)

主任講師名:三浦 麻子(大阪大学大学院教授)

【講義概要】
心理学の諸領域で用いられている基礎的な研究法について講義する。学習者が自らテーマを設定して研究を計画し、一連の科学的実証手続きを経てそれを遂行できるようになることを目指して、心理学の研究者・実践家としての心構えを含めて、スキルとテクニックを教授する。

【授業の目標】
心理学の諸領域で用いられている基礎的な研究法を学び、それらをふまえて自らテーマを設定して研究を計画し、収集したデータを分析・考察するという一連の科学的実証手続きを遂行するためのスキルとテクニックを習得することを目指す。

第15回 心理学研究の倫理2:臨床的研究の実施のために

臨床心理学に代表される臨床的研究を実施する上で求められる研究倫理について概説する。配慮が必要な対象者や心理学的介入の実施など、臨床的研究に特徴的なリスクについて学び、研究倫理委員会の役割について知る。

【キーワード】
研究倫理、臨床的研究、研究倫理委員会


日本国内の学術研究機関において,人を対象とする臨床心理学系研究が学術研究として実施される際に,適用される可能性のある規制を次の①~④の中から一つ選べ。

① 臨床研究法

② 個人情報保護法

③ eAPRIN

④ 人を対象とする医学系研究に関する倫理指針

フィードバック
正解は④です。

【解説/コメント】

①臨床研究法とは製薬企業から資金提供を受けて行われる臨床研究や,未承認薬・適応外薬を使った臨床研究に関する法的規制であり,臨床心理学的研究とは無関係です。

②個人情報保護法は学術研究機関における学術研究には適用されません。ただし,個人情報保護法と同等の規制は行政指針の枠組みで臨床心理学的研究にも適用される点を注意する必要があります。

③eAPRIN は一般財団法人公正研究推進委員会によって運営されている研究倫理教育コンテンツであり,規制ではありません。

④人を対象とする医学系研究に関する倫理指針は,多くの臨床心理学系研究にも適用される可能性のある行政指導指針です。

Pocket
LINEで送る