第10回 心理療法6 ―その他のアプローチ―

第10回 心理療法6
―その他のアプローチ―

上記以外の心理療法のアプローチをいくつか紹介する。

【キーワード】
家族療法、臨床動作法、森田療法、遊戯療法、統合的心理療法


1.家族療法

ミニューチン サルバドールミニューチンは、アルゼンチンのエントレリオスにあるサンサルバドールで生まれ育った家族療法士でした。彼は、家族間の関係、または家族のサブセット間の関係をグラフ化することによって家族内の問題に対処する構造的家族療法を開発しました。これらのチャートは、電力ダイナミクスと異なるサブシステム間の境界を表しています。

ミニューチンのアプローチの変化

1.here and now → 過去の体験を重視

2.家族の相互作用 → 個人の認知

3.明確なプロセスのイメージ → 曖昧さの受容

2.森田療法

「神経質」(・・・心気症、不安障害などと重なる概念)の患者に対して実践したアプローチ。

3.臨床動作方

「動作を手段とする心理療法」である。

動作とは・・・「もともと動くようにできているからだを、主体が思うように動かそうと努力する結果、身体が緊張したり動いたりする現象」

4.遊戯療法

ロジャース派のアプローチだけでなく、フロイト派のアンナ・フロイトやメラニー・クライン、ユング派のカルフなど多くのセラピストが実践している。

5.心理療法の統合

「くるたのしい」人生を体験しつつ、世界全体を俯瞰するのである。

「苦楽しい」
先週のスポニチのネット記事で、
『「苦楽(くるたの)しい」は小説家・遠藤周作の造語である。
臨床心理学者・河合隼雄との対談で「小説を書くというのは苦楽しいことです」と語っている。』
と、河合隼雄が引用されました。
この、遠藤周作さんの「小説を書くのは苦楽しい」という言葉に強く印象づけられた河合隼雄は、いろいろなところでこの造語を引用していたそうです。
たとえば、
河合隼雄『父親の力母親の力』講談社+α新書 2004年
この本の「第1章『家族』とはなんなのか」の中で、
上記の「苦楽しい」という言葉を引用し、
家族を持つことの苦労をめぐり、手間のかかること、面倒くさいことをやっていく「おもしろさ」というものを考えてみるべきではないか。
そして、「ほんとうに楽しいことをつきつめていったら、必ず苦しみがつきまとう」ものだと述べ、苦しいことと楽しいことの表裏一体性に言及しています。
同様のことは、『こころの処方箋』(新潮文庫 1998年)でも、
第49章「心配も苦しみも楽しみのうち」という章にあります。
ところが同じ本の中で、真逆と思われるようなことも河合隼雄は書いています。
第26章「「耐える」だけが精神力ではない」
日本のスポーツや部活の世界、もしかしたら会社などでも、苦しいことに耐えることで忍耐力がつく、などと思っているふしがあり、下手をすると「苦楽しい」という言葉が、苦しいことを楽しいと思えないとダメだ、と理不尽な指導に使われてしまう危険さえありそうです。
人間の「精神」というものは、耐えることだけに用いられるほど貧困なものではく、新しい手段を考え出したり、相手によって方法を変えるなどといった、”イマジネーション”という豊かな働きがあること、そのようなイマジネーションが人間の「精神力」というものではないか、と投げかけています。
このコロナ禍の苦しくて不自由な生活を強いられているなか、
本当の意味での自分にとっての「苦楽しい」とは?
イマジネーションを膨らませる時かもしれません。
統合的アプローチ
1.基本的欲求が満たされない心の傷となる体験のイメージ(回想・予想・空想)を推測し、その苦しみを追体験しようとする。
2.その基本的欲求が、部分的・代理的・代償的・象徴的に満たされるように配慮する。
3.クライエントの高次欲求を満たすような行動(個人的当為)のイメージを共に模索し、その実行を見守る。
個人的当為
個々人が人生の各瞬間において、またそのときどきの状況に即して(心の深層ないし高層にある価値観に照らして)なすべき(当為)と感じること 社会的に望ましいとされる一般的当為とは異なる場合もある。

真の自己 宇宙・生命の根源
なぜこの地球に我々は存在するのか……現在考えられている生命発生のシナリオ
『なぜ地球は人間が住める星になったのか?』より本文公開
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