第1回健康心理学の背景

1.健康とは

WHO憲章*1 では以下のように定義している。 「健康とは、肉体的、精神的及び社会的に完全に良好な状態であり、単に疾病又は病弱 の存在しないことではない。」

主要死因別粗死亡率
国民医療費の推移
アメリカの死亡率の関連要因

健康状態維持には、望ましい行動選択が不可欠
・課題 健康行動の促進 不健康行動の除去
・問題 情報が、望ましい信念・認知・態度・行動変容に結びつかない。

疾病予防
1次予防 病気にならないようにする。
2次予防 早期の対応がんの早期発見
3次予防 副次的な困難の防止・軽減

生物医学モデル biomedical model

生物心理社会モデル:biopsychosocial model
最もバランスのとれた医療の研究は、人間の存在を「生物・心理・社会性」(Bio-Psycho-Sociality)として統合的に見ようとする立場である——この理念はどんな医学関係の授業 …

心理学の背景
・疾病構造の変化
・保健医療制度からの要請
・健康に関する考え方の変化

心身の健康の生物ー心理ー社会的モデル

「生物心理社会モデル」では、慢性疼痛(痛み・痛い)は、「身体」の感覚であるとともに、「情動」でもあると考えます。
つまり、「情動」であるため「心」の影響も受けると考えるということです。これは、東洋医学の「心身一如」の考えに近いものです。
「生物心理社会モデル」では、
生物医学的アプローチ
心理的アプローチ
社会的アプローチ
による治療を行います。

2.健康心理学とは

・人間の健康に関する問題を総合的に扱う
・心身両面の健康に着目
–健康心理学:健康を中心的課題とする。
—心理的要因 ←→身体的な健康状態
— -心理的特性/パーソナリティ→心身症、生活習慣病、健康行動
–臨床心理学:主に心理的障害や病的な症状
・研究領域かつ実践領域
–社会の必要性へ呼応
–疾病と行動や生活の関連の認識

2.1 臨床心理学のテーマ
・心理的問題の成り立ちの理論
-例 うつや不安障害はどのように形成されるのか、遺伝、身体的特徴や性格との関係
・心理的援助の方法の効果
・アセスメント
-異常とは何か、正常ではない状態のアセスメント
・心理的援助の実際(理論と技法)
-個人&集団

2.2健康心理学のテーマ
・ストレス 自己コントロール、心理的社会的ストレスと身体的健康、心臓疾患と行動
・免疫疾患と個人内特性・行動・(例 がん、AIDS)
・慢性疾患患者のメンタルヘルス(例 がん、糖尿病、アトピー)
・健康関連行動
・医療における臨床心理学的介入

3.病は気から

・心身二元論(dualism)デカルト「我思う、ゆえに我あり」
身体 機械のような仕組み
精神 理性、言語使用
精神と身体は、別の原理で働く、身体と独立な「考える我」

・「養生訓」貝原益軒(発達科学の先人たち 第03回 貝原益軒)
気は、一身体の内にあまねく行きわたるべし、胸の中一所にあつむべからず。怒り、悲しみ、うれひ、思ひ、あれば、胸一所に気とどこほりてあつまる。七情の過ぎて滞るは病の生ずる基なり。
七情(喜、怒、憂、思、悲、恐、驚)が、過剰または偏った状態で長期に及ぶと、病気の原因に。

養生訓 (中公文庫プレミアム)

 

Pocket
LINEで送る

“第1回健康心理学の背景” への1件の返信

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA