第1回 心理的アセスメントとは何か

心理的アセスメント(’20)
Psychological Assessment (’20)

主任講師名:森田 美弥子(中部大学教授)、永田 雅子(名古屋大学教授)

【講義概要】
心理的アセスメントとは何をすることなのか? 心理的支援実践においてアセスメントは必須の行為である。クライエントがどういう人であるのか、どのような問題を抱えているのか、といったことを把握しないことには支援の方針計画をたてようがない。では、具体的にどのような方法があるのか、そこで何に留意するとよいのか概説する。

【授業の目標】
本講義を通じて、心理支援における心理的アセスメントの基礎知識を得ることを目標とする。

第1回 心理的アセスメントとは何か

心理支援の過程におけるアセスメントの意義・役割・目的について解説する。

【キーワード】
人間理解、心の問題の見立て、専門的技術、相互主観性、法則定立的接近と個性記述的接近


支援の出発点としてのアセスメント

専門的な技術としてのアセスメント

「個」への接近

共同作業としてのアセスメント

本章のまとめ


問題 1 次の①~④の文章のうちから,最も適切なものを一つ選べ。

① 心理的アセスメントとは,インテーク面接のことであり,その後の継続面接では行わない。
② 心理的アセスメントとは,クライエントの診断名を確定するためのものである。
③ 心理的アセスメントは,心理職とクライエントとの共同作業と位置付けられる。
④ 心理的アセスメントでは,心理検査を実施することが不可欠である。

これが「最も適切なもの」です。クライエントの自己理解を深めてもらうことが重要ですので,専門家としての判断を伝えると同時に,それについてクライエントの意見や感想を聴きながら,一緒に話し合っていき,共同作業として行うものといえます。

フィードバック正解は③です。


心理的アセスメント https://note.com/toyo2nd4585/n/nc7c415a08fc3


第1回 心理的アセスメントとは何か

心理支援の過程におけるアセスメントの意義・役割・目的について解説する。

【キーワード】
人間理解、心の問題の見立て、専門的技術、相互主観性、法則定立的接近と個性記述的接近

第2回 アセスメントの方法

心理的アセスメントの方法には、面接、心理検査、行動観察がある。支援の場や対象によって、それぞれに適したアプローチがある。ここでは概要を説明する。

【キーワード】
アセスメント技法、アセスメントにおける倫理

第3回 面接法によるアセスメント

心理支援の場における、クライエントとの面接を通したアセスメントについて、特に関わり初期を中心に説明する。

【キーワード】
受理面接(インテーク面接)、生活史的理解、初回面接と継続面接

第4回 心理検査によるアセスメント(1)-投映法

行動特徴や性格傾向などパーソナリティ全般をとらえるための方法として、投映法検査がある。ここでは代表的な投映法とその理論的背景を紹介する。

【キーワード】
投映法、ロールシャッハ法、TAT、SCT、描画法

第5回 心理検査によるアセスメント(2)-質問紙法

質問紙法検査には、本人自身や周囲の人がとらえるパーソナリティ特徴や気分状態などが反映される。ここでは代表的な質問紙法とその理論的背景を紹介する。

【キーワード】
質問紙法、TEG、YG、MMPI

第6回 心理検査によるアセスメント(3)-発達検査

乳幼児や児童等の発達をとらえるために発達検査が実施されることがある。ここでは代表的な発達検査とその理論的背景を紹介する。

【キーワード】
発達検査

第7回 心理検査によるアセスメント(4)-知能検査

思考や認知の機能など知的能力をとらえるための心理検査として知能検査がある。ここでは代表的な知能検査とその理論的背景を紹介する。

【キーワード】
知能検査、ウェクスラー法、ビネー法、認知機能検査

第8回 心理検査によるアセスメント(5)-神経心理学的検査

障害や事故あるいは加齢による脳機能の問題が疑われる場合等に心理検査が用いられることがある。ここでは代表的な神経心理検査とその理論を紹介する。

【キーワード】
神経心理学的検査、高次機能障害、認知症

第9回 行動観察によるアセスメント

面接場面、検査場面、あるいは生活場面等における行動観察からも多くの情報が得られる。ここでは仮想場面をいくつか提示しながら、それをもとに、言葉にならないクライエントの心情や特徴をアセスメントする視点について紹介する。

【キーワード】
顕在化した問題と内面に抱える問題、ノンバーバル・コミュニケーション、転移と逆転移

第10回 アセスメント計画の実際

実際の支援場面で心理的アセスメントを実施する時に、どのようなことに留意するとよいだろうか? アセスメントの導入や進め方について、事例を用いながら解説する。

【キーワード】
インフォームド・コンセント、ケース・フォーミュレーション、検査バッテリー

第11回 医療場面のアセスメント

病院やクリニック等におけるアセスメントの内容、対象、留意点などについて紹介する。特に病理水準の見立てという視点から説明を加える。

【キーワード】
病院、病理水準の見立て

第12回 教育場面のアセスメント

スクールカウンセリング等におけるアセスメントの内容、対象、留意点などについて紹介する。特に環境(場)、集団の関係性を見立てる視点について解説する。

【キーワード】
学校システム、環境(場)の見立て、参与観察、多職種連携

第13回 福祉場面その他のアセスメント(1)

子育て支援の領域におけるアセスメントの内容、対象、留意点などについて紹介する。特に発達や親子関係といった視点から解説を加える。

【キーワード】
子育て支援、障害児者支援、発達障害、親子関係のアセスメント

第14回 福祉場面その他のアセスメント(2)

虐待対応および高齢者支援におけるアセスメントを取り上げるとともに、司法領域でのアセスメントについても解説する。特に現実生活での適応の見立てという視点から説明を加える。

【キーワード】
高齢者支援、虐待、包括的アセスメント、現実生活での適応

第15回 アセスメントから支援へ

アセスメント結果はどのように活かされていくとよいだろうか? 何よりもクライエントに役立つアセスメントをするために、適応状況や問題となる行動や症状との関連を見ていく必要がある。ここではどのように結果を伝え、支援につなげていくか解説する。

【キーワード】
フィードバック、報告書(所見レポート)

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