クエーサーの中ってこんな感じなんですか?

巨大な電磁波ジェット!

Image : クエーサーのイメージ図。超巨大ブラックホールを中心に、電磁波を噴き出している。 Image: NASA, ESA, CSA, Joseph Olmsted (STScI)

Image : クエーサーのイメージ図。超巨大ブラックホールを中心に、電磁波を噴き出している。 Image: NASA, ESA, CSA, Joseph Olmsted (STScI)© ギズモード・ジャパン 提供

ブラックホールを初めて撮影したり、銀河の中心にある超巨大ブラックホールを初めて観測したりしたイベントホライズン望遠鏡が、さらに明るい天体のクエーサー(quasi-stellarの短縮形、準星、活動銀河核)を観測しました。

クエーサーは、巨大なブラックホールの中を物質が渦を巻いて進むことでエネルギーを得て、とても明るく輝く天体です。活動銀河核(AGN)と呼ばれるクエーサーは、電磁波を宇宙空間に放出していて、EHTチーム(Event Horizon Telescope Team、イベントホライズン望遠鏡を使ってブラックホールシャドウの撮像を目指しているプロジェクトチーム)はその内部をのぞき見てしまったのかもしれません。

噴き出す電磁波が特徴

世界的な科学者の共同研究で、約75億光年離れたクエーサーNRAO 530を探索したところ、今までイベントホライゾン望遠鏡で撮像された一番遠い天体だそう。ボストン大学天体物理学研究所のスベトラーナ・ヨースタッド氏を中心とする研究チームは、この望遠鏡の装置を用いて、クエーサーの特徴を捉えました。具体的なものとして、1.7光年の長い距離にわたる電波放射のジェットを撮像したのです。

また、クエーサーのコア(噴流が始まる部分)と、コアの中にある2つの謎の構造も観測されましたが、現在の望遠鏡の性能ではこれらは十分に観測できませんでした。また、ジェットから放射される光を見たところ、ジェットに磁場があり、その磁場はらせん状に曲がっていることがわかりました。

「ジェットの一番外側の特徴は、特に直線偏光が強く、非常に秩序だった磁場の存在を示唆しています」とヨースタッド氏は述べています

ヨースタッド氏と研究チームがクエーサーの画像化に用いた重要な手法の1つは、VLBI(超長基線電波干渉法)と呼ばれるものです。イベントホライズン望遠鏡を構成する望遠鏡のように、地球上に散在する望遠鏡は、すべて同じ天体からの電波をとらえることができます。VLBIを使用する天文学者は、これらの異なる地点でのデータを集め、検出時間の差を考慮すると、その天体の詳細な画像を作成できます(ある天体からのデータは、別の望遠鏡で収集されるよりちょっと前に集められるかも)。

EHTや最近打ち上げられたウェブ宇宙望遠鏡のような新しい観測技術のおかげで、天体物理学者はクエーサーについてより深く研究しています。昨年秋に公開されたウェッブ宇宙望遠鏡の画像から、銀河の「結び目」で他の3つの銀河と相互作用している多色クエーサーが発見されました。また、さかのぼって2020年にはハッブル宇宙望遠鏡がクエーサーの「津波」を観測した際、クエーサーのエネルギーは銀河の形成をストップさせるほど強力なものだと考えてられいます。

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