エントロピー

熱力学入門

〔熱力学で〕entropy エントロピー(英: entropy)は、熱力学および統計力学において定義される示量性の状態量である。 熱力学において断熱条件下での不可逆性を表す指標として導入され、統計力学において系の微視的な「乱雑さ」を表す物理量という意味付けがなされた。

エントロピー‐だんせい【エントロピー弾性】

外力によって体積が減少した気体や秩序立った配列をとった高分子からなる物体などが、エントロピー増大の法則(熱力学の第二法則)に従って、元の状態に戻ろうとする復元力による弾性。→エネルギー弾性

エントロピー増大の原理の言及

…すなわち一つの孤立系においては,その系のエントロピーの総和は,その系内に可逆過程が生じても不変に保たれ,不可逆過程が生じた場合には増加し,どんな場合でも減少することはないということを示しているのである。これが孤立系に対するエントロピー増大の原理である。自然界に起こる過程は,摩擦,熱伝導など不可逆過程が多く,したがって自然界(宇宙)を孤立系とみなせばエントロピーの総和はその極大値に向かって増加していることになる。…

【熱力学の法則】より

…エントロピーは内部エネルギーと同様に状態量,すなわち物体の一つの定まった熱平衡状態で定まった値をとる量である。このエントロピーという量を使うと,第2法則は,外界から孤立した物体の系で生ずる変化では系全体のエントロピーは必ず増大するというエントロピー増大の原理として表される。熱平衡状態にある物体に外部の熱源から微小な熱量⊿Qを与えたとき,その物体のエントロピーSは,⊿S=⊿Q/Tだけ変化する。…

【不可逆変化】より

… 不可逆変化を特徴づける重要な概念としてエントロピーがある。すなわち,孤立系(断熱的な系)では,エントロピーの変化がなければ可逆変化であり,不可逆変化ならば必ずエントロピーは増大する(エントロピー増大の原理)。つまりエントロピーとは状態量であるから,二つの状態AとBの間にエントロピーの差, ⊿SSBSA>0があるとき,断熱的にAからBに移る過程は,必ず不可逆変化である。…

※「エントロピー増大の原理」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

エントロピーの定義とエントロピー増大の法則の意味

熱力学第二法則を数式で表現しようとすると,クラウジウスの不等式を導く事ができます。さらに,クラウジウスの不等式から新しい状態量であるエントロピーが定義されます。

エントロピーは状態量でない熱

δQ を状態量のみを用いて表現できることに大きな意味があります。

断熱過程のとき,エントロピーを用いたエントロピー増大の法則は自然界でも重要な法則です。この記事では,エントロピーの導出やエントロピー増大の法則についてわかりやすく解説していきます。

エントロピー[情報量]

1948年にクロード・E.シャノン情報量を定義したときに導入した,平均情報量をはかる尺度。単位は「ビット/文字」で表される。シャノンによれば,情報源は独立かつ一定の分布をもつ確率過程とみなされ,情報源のエントロピーは,情報源から発生する通報の生起確率の対数期待値で定義される。この定義によれば,おのおのの通報が発生する確率が等しいときエントロピーは最大となる。すなわち,どの通報がくるか予想がつきにくいほどエントロピーは大きいということになる。シャノンの定義は,熱力学で用いられるエントロピーと,比例定数を除いて一致するが,負号がつくので,負エントロピー negentropyとも呼ばれる。この概念は,データ通信暗号化コーディング理論などの分野で威力を発揮する。(→情報理論

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

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